R1250GS カフェしなの

R1250GS、事故で廃車から買い替えました

TLD

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先日の林道ツーリングは本当に久しぶりで、高速を走りながらほんの数年前まで何かに取りつかれた様に、毎週林道通いをしていたことを思い出していた。

私がオフに出会ってから初めて知り合った友人が、SさんとAさんの津田山ブラザース。

Sさんは重いアフリカツインでラリーレイドモンゴルを完走した猛者で(今のように「乗用車」が完走できるレベルと違い当時はかなりハード)、私を本格的な「山遊び」に誘ってくれたり、一緒にアフリカツインでTBIに出たりと、オフの楽しさをいろいろ教えてくれた。

TBIは日本中からオフ乗りが集まるメジャーイベント。
雨でグチャグチャのMXコースはビッグオフの墓場と化すけれど、そんな「濃密な1週間」で親しくなった全国の友人たちと、以来毎週のように林道ツーリングに行くようになった。

ビッグオフは高速の移動がラクで、半径200キロ圏内はノンストップで行けるので、北や西の友人らと現地集合しては各地の林道を走り回っていた。

重いアフリカツインをモトクロッサーのように操る、岩手のアフリカ使い「うめさん」や、今ではHPNでファラオマスターと呼ばれるT中氏も、当時は相棒のY村君と二人「GSマフィア」と恐れられ(極悪なブロックタイヤから飛ばされる石が、後続車のヘッドライトやゴーグルを割るのが名前の由来)、ホンダvsBMWというパリダカの縮図のような林道バトルを繰り広げていた。

うわさが広まって、いつのまにか週末にはアフリカツイン、カジバ・エレファント、スーパーテネレといったビッグオフが十数台集まるようになり、重量車を手足のように操る、ツワモノたちによる林道バトルはさらにヒートアップしていった。

私のような初心者は彼らの激しいバトルを追いかけるのに必死だったけど、遅れても必ず先で待っていてくれるのがありがたかった。
誰かが崖から落ちてもみんな当然のように、持参したロープをつないで引っ張り上げ、難所はみんなで助け合う....
本当に素晴らしい仲間たちとの出会いが、私をさらに林道通いにのめり込ませていった。

走る距離もどんどん伸びて一日で林道10本は当たり前、日帰りで総走行距離は700キロをこえることもしばしばで、途中パンクや故障、転倒等の予期せぬトラブルも多く、早朝出発しても帰宅はいつも午前様だったけれどそれも楽しくて、高速の料金所で解散して走り去る仲間たちを見送るのが、毎回寂しく感じられた....。

当時、バイク雑誌「GARRR(ガルル)」の元編集長U田さんが出した「オフロードバム」は、豊富な写真と濃い内容で、広告ばかりのほかのバイク雑誌とは一線を画す、かなり画期的な雑誌で、この無茶苦茶ハードな「林道キャノンボール」も何度か取り上げられた。
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「おとこ道」と呼ばれたこのルートは苦手だったなぁ。
カウルを何枚割ったことか.....。

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みんないい顔しているね。
このあともまだ林道を走り回って、高速に乗ったのは夜9時過ぎだったような....。

東北の林道をメインに一日で走り切ることから、仲間うちで「TLD(東北ロングディスタンス)」と呼ばれていたこの日帰りツーリングは、以後数年で自然消滅したけれど、この「長距離を一日で走る」経験があったからこそ、そのあとのラリーモンゴルやファラオラリーも何とか走り切れたのではと思う。
「伝説の」といっても良いTLDは、ビッグオフを愛する仲間たちによって、いろいろ形を変えながら今も受け継がれているらしい。