R1250GS カフェしなの

R1250GS、事故で廃車から買い替えました

悠久の

先日、映画「グリーンゾーン」を観た。
仕事のあと日比谷みゆき座に一人で行った。
「ボーンシリーズ」で有名になったマット・デイモンと、監督ポール・グリーングラスのコンビによるこの映画は、イラク戦争の原因になった大量破壊兵器をめぐる陰謀を暴く「戦争モノ」。
ひと昔前の戦争モノといえば、ベトナム戦争を描いたものが多かったが、アメリカでも映画を観る人にベトナム世代がいなくなったのか、アフガンやイラクなどの中東モノが多いような。
(個人的には「キリング・フィールド」が良い)
 
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「ボーンシリーズ」ですっかりこの手がハマリ役になった、マット・デイモン
夜の六本木に遊びに来ている、米兵のあんちゃんにいそうな顔だが、そのぶんイケメン俳優より親近感があって良い。
「グッド・ウィル・ハンティング」や「プライベート・ライアン」の、幼かったイメージから一皮むけて、「男」らしくなった。
いまだにどんな役を演じても子供にしか見えない、とっちゃん坊やのデカプリオより数段いい。
 
映画では派手な戦闘シーンより、荒廃した街の様子や混乱するイラク市民のほうが、記憶に残った。
 
エジプトに初めて行ったのは2004年のファラオラリーだった。
ハイウェイを走るタクシーから見たカイロの街は、「最近、戦争があったのか」と思うほど、破壊されているように見えた。
土レンガを積み上げた「粗末な」家やビルは屋根もなく、ほとんど未完成。
なのにそこに大勢の人が暮らしている。
タクシーの運転手に聞いたら、「ここ数百年、雨が降らないから屋根はいらない」だそう、納得。
 
信号のない交差点はクラクションの洪水でクルマがあふれ、大勢の人やロバが渋滞する車のあいだを、泳ぐように渡っていく。
数千年前に繁栄を極めたこの国は、以後、時間が止まってしまったように、何にも変わっていないことが驚きだった。
「ブラック・ホーク・ダウン」など、中東戦争を舞台にした映画はいろいろあるが、現地を見ていると一層リアルに感じる。
 
宗教の違いで戦争をする人たちの気持ちは、ほとんどが仏教徒のこの国の人には、知識ではわかっても本質的なものは、永久に理解できないだろう。
 
「憎しみは憎しみで、怒りは怒りで、裁かれることになぜ気がつかないのか」
 
地球温暖化が叫ばれて、日本ではエコだ省エネだと騒いでいるが、アフリカやアジアの途上国では、欧米から払い下げられたガラクタのようなクルマが走り、排ガスをまき散らしている。
 
それでも少し都会を離れると、クルマよりロバのほうが多くなり、数千年のあいだ変わらない生活が営まれている。
 
暑くてもエアコンはなく、夜は家や店の前に人が群がり、薄暗い電灯の下、酒を飲まない彼らはずっとお茶を飲みながら、夜更けまでおしゃべりをしている。
 
暑くなると最新型のエアコンをつけて、土がないので排出された熱の逃げ場がなく、その暑さで熱中症になる、このおかしな国よりも、彼らのほうがよほどエコな暮らしをしているように思う。