埼玉の知人から今借りている家を買うことになったので、相談に乗って欲しいと連絡があった。
そこは彼の知り合いの実家で、彼が20年借りていたが、今回相続が発生し、彼が買うことになった。
私に仲介してほしいと相談があったのが、去年の夏。
相場を調べると駅から徒歩20分以上で、ひと坪80万円もするらしい
(40万くらいかと思ったので驚いた)。
親や銀行に購入資金の相談をしたり、となりの空き地10坪も買いたいと、いろいろやっていたら12月になっていた。
知り合いの埼玉の不動産屋に聞くと
「もともとあの辺は坪40万から50万がいいところ。
ここ5年くらいミニバブルで値上がりしたけど、はじけたらあっというまに半値になるよ」
って。
不動産屋のオンラインで売買データを検索したら、去年8月と12月の売り物件がほぼ同じで、土地も建売住宅もほとんどが売れ残っている。
これは埼玉に限ったことでなく、日本全国で起きている現象。
「サラリーマン大家」という言葉が流行り、先行き不透明なサラリーマンたちがアパートや不動産投資に群がり、不動産業者もそのための土地を買いあさり、オリンピック景気も重なりいつのまにか不動産バブルに。
が、スルガ銀行の不正融資事件以降、ほとんどの金融機関が預金のないサラリーマンには融資をしなくなった。
その結果、サラリーマンを当て込んで建築されたマンションやアパートは、全国で売れ残り在庫の山になっている。
年末に知り合いの業者から、カネを貸してほしいと相談があった。
彼はここ5年ほど「サラリーマン向け不動産セミナー」で大儲けして、事務所も都心の高層ビルに引っ越し、社員も増えてフェラーリやポルシェなど、何台も乗り回して派手な生活をしていたはず。
聞くと不動産を買いたいサラリーマンの、「にわか投資家」はたくさんいるけど、みんな預金がないのでローン審査が通らず、売れずに抱えている一棟売りマンションや、アパートの金利が払えないという。
何億も儲かったと自慢していたのに、銀行やノンバンクに払う金利や、事務所の家賃、社員の給料などを払い続けていたら、預金は底をつき銀行も融資してくれないらしい。
彼の会社は「30年家賃保証」をうたい文句にしているが、会社がつぶれたらだれも保証してくれないことを、疑う人は意外に少ない。
こんな危ない不動産業者はいま、星のようにいる。
前述した埼玉の彼の家のまわりも、売れない建売住宅が山のようにある
(ほんとうにものの見事に売れていない)。
春になったら大手の建売業者が、2割3割は当たり前、赤字覚悟の「投げ売りバーゲンセール」を始めるので、資金力のない小さな建売業者はみんな倒産してしまう。
過去にも何度かあったが、値下げが値下げを呼んで負の連鎖が止まらず、地方都市やバス便など交通の便が悪いところは、いっきに半値以下まで大暴落する。
彼にはデータを見せて、バブルがはじけるまでほかの賃貸に引っ越して、買うのを待つよう話した。
(だって40坪×80万=3200万が、40坪×40万=1600万って、半値になるんだよ(*_*))
建築費も今は高騰していて5年前の1.5倍、
40坪の木造2階建てでも3000万近くかかるので、
土地3200万+建築費3000万=約6000万円!
それを45歳の彼が35年払い続けて、80歳の完済時になにが残っているのか?
外壁塗装や設備など家のメンテも定期的に必要だし、古くなればなるほどカネがかかる。
それなら売れ残りの建売住宅を買いたたいて、安く買ったほうがいい。
売り主の大家さんは今を逃すと暴落するので、彼には一旦ほかの賃貸に引っ越してもらい、早めに売るよう手配中
それでも地元業者は「坪60万ではもう売れない」って(4か月前は80万だったのに(*_*))。
「あなたもサラリーマン大家で大成功しませんか?」
なんてセミナーがいまだに流行っているようだが、成功している人は値上がりする数年前に買った人だけ。
「アメリカVS中国」に加え、イランや北朝鮮、EU離脱など、バブル崩壊の要因はいくらでもある。
バブルピークの今買っても、暴落は目に見えている。
おそろしいのは日本中で新築の賃貸マンションや、アパートが乱立していること。
北千住の古いアパートの大家さんは、
「家賃が下がる一方で困っちゃうよ」
とボヤいていた。
都内でも土地値が安い足立区や江戸川区などは、アパートやマンションが乱立して、賃貸相場が大幅に下落した。
駅徒歩10分、今まで1DK7万円だった部屋は半年以上決まらず、やっと決まったのは5万5千円だった。
この5年間で周辺に10棟以上のマンションやアパートが建ち、すっかり供給過多になったので仕方ないが、土地が安いところは家賃も安いので、生活保護や収入の少ない人、外国人が多く住み、地元では治安の悪化が問題になっているそう。
投資物件を売る業者は空室を埋めて、利回りを確定させないと売れないので、
「とりあえず{人間}ならだれでもいい」
と、たいした審査もせずに入れている。
その結果、家賃滞納や不良外国人、働かない生活保護者が昼間から酒を飲んで暴れたり、朝ごみを出さずにスラム化していく。
これは足立区に限ったことではなく、都内、神奈川、千葉さいたまにも共通していて、人口は減る一方なのにマンションやアパートばかり建てて、家賃は下がり続ける一方。
家を買った人も安心できない。
30年前なら退職金で住宅ローンを完済し、あとは年金でバラ色の老後が待っていたが、今は40歳、35年ローンで家を買って、60歳で定年退職しても、まだ15年ローンが残っている。
退職金で完済できればいいが、むかしのように退職金はもらえないので、定年後も働いてローンを返済し続けなければならない。
ボーナス月は数か月分の返済額になり、定年後に再就職できたとしてもまとまった金額が工面できず、老後に自己破産する人も増えてきた。
銀行にローンの見直しを相談しても、ちゃんとした会社に再就職できればいいが、アルバイトや契約社員だと「返済能力なし」の烙印を押され、「一括返済」を迫られることもある。
賃貸物件が供給過多になれば家賃も下落するだろうし、日本全国どこでも住み放題。
賃貸なら設備の修繕は自分でやる必要はないし、隣人関係で揉めたら引っ越せばいい。
これからは無理に家を買う必要は、なくなるかもしれない。
どうしても家を買いたければ、定年時に完済できるよう40歳で購入なら20年か25年ローンとか、返済期間を短く計算してみればいい。
借入額4000万、35年ローンで金利1%なら、毎月の返済額は112915円。
これが20年ローンだと183958円になる(どちらもボーナス払いなし)
「毎月11万なら払えるが18万はちょっと」
という人は、一度考え直したほうがいいかもしれない。
木造一戸建てなら35年のあいだに修繕でかなりの費用が掛かるし、35年目に完済したときは家の建て替え時期、なんてこともありえる。
マンションだって古くなるほど管理費、修繕積立金は上がり続けるので、収入の減る老後のほうが負担は大きくなる。
それで買えないなら無理して買うことはないし、一生賃貸でもいいのではないか。
「金利が安い今が買い時」なんて購入をあおる不動産屋やメディアもあるが、金利1%で買ったマイホームがバブル崩壊で半値になって、売りたくても原価割れで売れない。
なんて笑えない話は、いくらでもある。
とりあえずオリンピックまで様子を見たほうがいいと、私は思う。