先週のこと、GSで出かけた田園調布の住宅街で路肩に駐輪したら、知らないおじさんに声をかけられた。
「ウチの前にバイク停めるな!」
なんて文句言われるのかと思ったら、
「このバイク、何キロあるんですか?」
とか
「失礼ですがおいくつですか?」
なんて聞いてくる。
ビーエムに乗っていると
「これ何キロ出るの?」
「いくらするの?」
なんて聞いてくる人が多いので、そのたぐいのヒマなおじさんかと思ったら、
「わたし69歳なんですけど、50年ぶりにバイクに乗りたくなったら、走ってるバイクが気になって仕方ないんです」
って。
ヒラノさんというおじさん、去年くらいから急にオートバイに乗りたくなったそうだが、79歳のスガワラ爺よりヨボヨボして見える。
「CB400で3時間3万円」の路上教習を受けたが、坂道発進の右折でエンスト、立ちゴケしたバイクをひとりで起こせなかったらしい。
250ニンジャの中古が欲しいので、今度は250でレンタル教習を受けようと思ったが、コロナでどこも休業中。
年金暮らしで午前中だけマンションの管理人のバイトをして、午後はバイク屋巡りをしているとか。
50年前、ヤマハの2st250で通学していたけど、50年ぶりに乗った最新型400マルチのパワーに、圧倒されたらしい。
話しを聞いていたらなんか、かわいそうになってきた。
私のGSにまたがってもらったけど、165cmではアシが着かないし、400でも危ないのだから1250ではもっと危険。
まわりでだれか250くらいのバイクを持っていないか考えた。
「そうだ、じ~じのXL230を借してもらおう」
とメールしたら
「御殿場でジムニー作ってるから乗っていいよ」
って返信が。
翌日、午前中の仕事が終わったヒラノさんがウチに来て、GSにタンデムしてじ~じの家へ。
このXL、「生意気にも?」XRのキャブとファンネルが付いていて、ちょっとレーシー。
キャブのバイクなんて100GS以来かも。
チョークを引かないとかからないが、チョークの場所が分からなくて困った。
「(ビーエムの)650も乗っていいよ」
と言われたが、やっぱり大きいって。
乗らないのでバッテリーもあがりっぱなし。
「もう売っちゃえば」
といっても、
「いやいや乗るから」
って(ホントか?^-^;)
単気筒の軽量トレールバイク、
69歳、165cmのおじさんには、レーサーっぽいニンジャより、こっちがちょうどいいと思うけど。
この時点で1時。
3時には小学校から娘が帰ってくるので、2時間でどこへ行こうか。
環八を南下して羽田空港をぐるっと回り、となりの京浜島で休憩。
と、ヒラノさん、国道も50km/hで走るので、バックミラーを覗くとバイクの後ろが渋滞していた!?
「緊張でノドがカラカラです」
っていうけど、目をキラキラ輝かせてうれしそう。
国内線は飛んでるみたいだけど、まだまだ回復の兆しは見えない。
「バイクを貸していただいたお礼はおいくらでしょう?」
というけど、おカネなんて絶対受け取らないだろうから、
「サッポロビール1カートン(6本)でいいと思いますよ」
って言ったら、なんかたくさん買ってきた。
とりあえずドアノブにひっかけて。
往復2時間ちょっとのショートトリップだったけど、不安だったクラッチも使えるようになったし、400で立ちゴケしたときより、ひと皮もふた皮もむけたはず。
「こんなにビールもらっちゃったから、いつでも乗っていいよ」
との返事をいただいたので、次回はもう少し足を延ばして、第三京浜経由で湘南まで行ってみましょうかね。
思えば30年前、突然オフロードに目覚めたけど、まわりにはだれもいなかった。
見よう見まねで走るうちに、いろんな人と知り合って今に至るけど、とりあえず「いい人たち」との出会いには、恵まれていたと思う。
ヒラノさんも私と出会わなかったら、「やり手」のバイク屋の口車にのせられて、分不相応なバイクを買っていたかもしれない(都内のバイク屋、とくにディーラーは、口八丁手八丁の商売上手が多いので)。
69歳の今からカラダを鍛えて、オフロードというのも無理だろうし、正直あと何年乗れるか分からないけど、クルマを売って車庫を空けて、奥様の許可ももらったらしいので、楽しいバイクライフを送ってくれたらいい。
でもヒラノさん、スガワラじ~じが何者なのか、知らないのね~(^-^;