R1250GS カフェしなの

R1250GS、事故で廃車から買い替えました

カドゥ

昨日は地元の区主催の「両親教室」に参加。

これから出産を経験する新米夫婦のために、お父さんにも乳児の入浴方法や,
10キロの重りがついた服を着る「妊婦体験」、
妊婦へのマッサージ法などを教わる。

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人形です、重さ3キロ、首もグラグラでけっこうリアル。

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ガーゼにくるんでお風呂に入れて、石鹸できれいに。

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10キロの妊婦服は本当に重い...。

お父さん予備軍が一人づつ人形を入浴させて、紙おむつを当てるまでを体験。

この歳にして初めての体験だけど、昔たくさんネコを飼っていたとき毎日洗っていたので、
講師の女性からは
「ちょっと荒っぽいけどお上手です」
とビミョーなお言葉をいただく....。

でもかわいいベビーバスときれいなガーゼで洗いながら、先日菅原爺が
「モンゴルでは赤ちゃんは裸なんだよ」
と話していたのを思い出していた。

モンゴルの遊牧民は紙おむつもないし、水も貴重。

なので裸で寝かしておけば勝手にオシッコしたりウンチするが、
ちょこっと洗えばおしまいで、ウンチも肥料になって経済的。

そんな大自然で育った子供が、朝青龍みたいな強い人間になるんだろうな。


マリなどアフリカの内陸国は世界で最も貧しい国だが、
そこを世界一お金のかかったラリー「パリダカ」が通過する。

地元の村にも「お触れ」が出ていて、村を通過するときは沿道にすごい人だかりができる。

子供たちがラリーカーの前を横切る「度胸だめし」をしては、毎年何人かが轢かれて死んでいる。
彼らはこんなスピードで走るクルマを見たことがないので、距離感がわからないらしい。

もし事故を起こしたら、その場に立ち止まってはいけないらしい。
「目には目を」精神の彼らがカタキを討とうとして、袋叩きにあうから。
あとから来る主催者側のスタッフが、村の長老らと話しをつけるそうだ。

最後尾のプレスカーが通過するころは、村の外れで数百人のハダカの子供たちが待ち伏せている。

クルマの前にみんな立ち塞がって、口々に
ムッシュ、カドゥ!カドゥ!」
と手を出し、必死の形相でクルマにしがみついたり、窓ガラスから黒い手を入れてくる。

「カドゥ」はフランス語で「プレゼント」の意、つまり
「ダンナなんかくれ」。

選手の昼食用に支給される「ランチパック」は、高カロリーのナッツやチョコ、缶詰のパテなどで、とても食事といえるものではなく、食べるヒマのないトップ選手は邪魔になるので持たない。

キャンプを出発する前にドライバーのシューセイさんから
「できるだけたくさんランチパックを積んで」
と言われ、
「シューセイさんてば、食いしん坊だなぁ」
なんて思いながら、10袋以上積んでいた。

初めての村で子供たちがクルマに群がったとき、
かわいそうに思った私は、その中の一番小さい子にチョコを一つあげた。

そのとたんその子にみんなが群がって、奪い合いを始めた。

舞い上がる砂ぼこりのなか、必死に逃げる子を追いかける、数十人のハダカの子たち....。

チョコを奪った子が別の子に殴られて、それをまた別の子が殴って奪っていく。

我々から何かもらえると思った他の子たちは、一斉に
「カドゥ!カドゥ!」
の大合唱。

シューセイさんから
「ランチパックをできるだけ遠くに投げて!」
と言われ、窓を開けてクルマに群がる子供たちに「袋」を見せたあと、思い切り遠くに放り投げた。

一斉に袋の方に走りだす、まっ黒いハダカの子どもたち

あたりは茶色い砂ぼこりが巻き上がり、一瞬、高崎山のサルを思い出した....。

そのスキにクルマは必死でしがみつく子供を振り落としながら、全速力で村を脱出。

これは毎度のことで、なにももらえなかった子供は腹いせに、自分のアタマほどもある石をクルマに投げつけることもあり、キャンプに戻った日本人チームのパジェロの窓ガラスが、粉々に割られていた。

「村の子供たちはシャワーも海も知らず、一生を終える子がほとんどだ」
と、キャンプで会った地元のドクターから話しを聞いた。

どうみても中学生くらいの女の子が妊娠している大きいおなかで、
これもたぶん自分の小さい子供の手を引いている....。

一度見たら忘れられない衝撃的な光景。

ドクターは栄養失調や病気で子供は死んでしまうので、
10人兄弟は当たり前、とも言っていた。

昔の日本も同じで私の母は10人兄弟、父は6人でみんな大家族だったが、
経済的に豊かになった今は逆に少子化が問題になり、年間3万人も自殺する
歪んだ経済大国になってしまった。

テレビでユニセフなどの慈善団体が、貧困国の子供にワクチンをと募金を呼びかけている。

貧困国では一日に何百人の子供が死んでいると言うけれど、
実際はそれ以上の子供が、貧困国では毎日生まれている。

ニワトリとタマゴの話ではないけれど、
「子供を生まないようにコンドームを配る方が手っ取り早いのでは?」
と、現場を見るたびに思ってしまう.....。

私の田舎では昔は鼻水を垂らした子供が大勢いて、
セーターのソデは拭いた鼻水でピカピカだったが、
それは冬なら当たり前の光景だった(当然、私もそのひとり)。

それでも病気で死ぬ子はおらず、「子供は風の子」とどんなに寒くても外で遊び回っていた。

今はちょっと汚れただけで親から「汚い」と言われ、
異常なまでに「キレイ」に敏感で、子供が外で遊ぶより
家でファミコンをやってくれる方が安心らしい。

子供がすぐ風邪をひいたり病気になるのは、
いろいろな意味で「免疫」が足りないからだろう。

人形をガーゼで拭くとき講師の女性から、
「ちゃんと1回ごとにお湯ですすぐように」
と注意される。

アフリカやモンゴルの野性児のような子供を思えば、
「そこまできれいにしなくても死なないよ」
って言いかけたけど、この過剰なほどキレイ好きな国では
ヒンシュクを買うだけなので、グッと飲み込んだ....。

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エジプトのシーワの子供たち、
クレオパトラが生まれた町とのことで、観光地だけどこんな派手なバイクは珍しいらしく、
あっというまに元気な子供たちに取り囲まれた。

この子たちは洋服を着てるので、まだ豊かなほう。
でも輸送手段はクルマよりロバが多く、騒々しいカイロと違ってとてものどか。
何千年も変わらない光景なんだろう。

なんでもあるけどありがたみを知らない日本の子供と、なんにもないけど元気な彼ら、
どっちが幸せなんだろ....。