R1250GS カフェしなの

R1250GS、事故で廃車から買い替えました

モンゴル人の強さ

昨日のブログを見た知り合いが、「日本は一見{無菌室}のようにどこもキレイだけど、過保護過ぎて子供が弱くなった」と言っていた。

以前モンゴルラリーに出たときミスコースして途方に暮れていると、どこからともなく馬に乗った親子が現れる。

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本当にこんな感じで「どこからともなく」現れる。
このおじさん、おしっこしたいのになかなか立ち去ってくれない。

言葉も通じないのでコマ図を見せて身振り手振りで説明すると、父親が小学生くらいの息子に何か話しかけている。
父親が「こいつについていけ」と息子を指差し、息子は「俺についてこい」と私に目で合図して、すぐ先の岩山を上り始めた。
「・・そ、そこ行くの?・・」ってくらいの急斜面を、馬と少年は「かろやかに」登って行く。
父親も「早く行け!」と手で私をせきたてるので、意を決してついて行った。
山を二つほど越えてしばらく走り「ほんとに大丈夫かな...」と不安になったとき、ふと少年が止まって指さす方にコマ図に出ていた「オボー」(石を積んだ道しるべ)があり、オンコースに戻れた(一体どれだけミスコースしたのやら.....)。

少年にお礼を言って何かあげなくてはとポケットを探り、ボールペンがあったので差し出すと「いらない」と手を振る彼。
無理やりポケットにねじ込むと、両手を合わせてお礼を言った彼は、とぼとぼと来た方に戻って行った。

そのあとモンゴル人ライダーがクラッシュして、骨折しながらも自分のバイクを押して何時間も歩いたそう。
彼らにとってバイクはとても高価な貴重品なので、置いていくわけにはいかなかったんだろうけど、日中50度近い砂漠の暑さは想像を絶し、体力を奪い気力を萎えさせる。
飲み水もなくなりバイクを押す力も尽きたとき、彼は持っていたナイフで死のうとしたそう。

たまたまクルマが通りかかって助かったけれど、遊牧民は3歳で馬に乗り始め、牧童として親の手伝いをするもの。
子どもといえどたった一人で、ゲルから数キロ離れた場所まで羊たちを放牧するけれど、オオカミもいるし落馬したりといつも危険と隣り合わせ。

チンギスハンの昔から親は子供が生まれたとき、護身用としてナイフを持たせるらしいが、これは自分の身に何かあったとき自分の命を絶つ、「自決用」の意味もあると後で聞いた。
(先日観たDVD「アポカリプス」でも、毒ヘビにかまれて助からない戦士が、自分のナイフで自害していた)

夏の「ナーダム」という祭りでは、幼い子供たちが馬に乗って、数十キロ先のゴールを目指して競う。
途中落馬する子供もいるけれど、大平原では誰も助けてくれないので、自力でなんとかするしかない。

朝青龍白鵬らモンゴル人同士が優勝争いをするたびに、何不自由なく育った日本の子供たちが、戦いのDNAを受け継ぎ、厳しい環境で育ったモンゴル人にかなうわけないな、と思ってしまう。

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ビバークで私のバイクを直してくれている菅原爺とカイザー