R1250GS カフェしなの

R1250GS、事故で廃車から買い替えました

NPO SSER

小雨のなかGSで広尾に向かう途中、目黒トンネル手前で前を走る一台のセローを発見。
リアシートにセローには不似合いな茶色いアタッシュケースと、配管用の大きなダクトを積んでいる。
「もしや?」と思い並走すると、やっぱり菅原爺だった。
「ジムショ来る?」と言われ、それじゃちょっととお邪魔した。
 
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工場には新型レンジャーのコクピット
溶接中のスーさんと爺。
 
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赤い斜線部分を大胆に切り取って、コクピットのコンパクト化に挑戦中(なんと290mmも!)
もちろん図面もないので、スーさんの「職人のカン」が頼り(でもこれが一番正確だったりする)。
 
去年はエンジンを後方にずらしてミッドシップ化していたが、まだこんな手があったとは....
 
ノーマルのコクピットの写真はこちら↓
 
来年70歳のオヤジの進化は、地震があっても止まらない。
 
ダカールのあとフランスの工場に行っていたテルちゃんも、地震の日の朝に帰国して無事だった。
 
2階の事務所で爺に見せられた1冊の本。
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ホンダS800レーサーの特集号
 
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RSCがテスト中のパドックで、レーサーらと談笑する爺(って若過ぎて分からないw)
 
興味のある人は書店でご購入を。
 
事務所で地震の話しをしていると、思いがけない来客が
 
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SSER代表ヤマダサン
NPOボランティアとして乗り込んだ東北からの帰りに立ち寄られた。
 
NPO SSER」の支援活動はこちら↓
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もう一人のメンバーはTBI参加者ならおなじみのカオルサン。
お二人とも一週間現地に泊まり込みで、風呂にも入っていない。
 
彼らが行った石巻の状況は山田さん曰く、「とても言葉にできない」ほどめちゃくちゃで、テレビの画面から伝わるものとはまるで異質のものらしい。
 
古いお寺や木造家屋は、地震があっても倒壊しておらず、全ては津波によって流されてしまった。
 
それにしても金曜の地震発生から日曜の出発まで、なんという対応の速さだろう。
普段何も準備していない他のボランティア団体が、テントや炊事道具を一生懸命かき集めている中で、20年以上続けて来た海外ラリーや野外イベントで、水も電気もない砂漠や山のなか、数百人分の食事を作れる道具一式と、テントや発電機などを常時積んでいるトラックを持ち、それをマニュアル無しに使いこなす少数精鋭のスタッフが揃うSSERは、自衛隊を除けば民間で最強のエキスパート集団と言っても、けっして過言ではない。

モンゴルラリーで遥か彼方のゴールに、このSSERのロゴの入ったトラックを見つけてホッとしたのは、私だけでは無いはずだ。

それでもどんなに頑張っても、数十万人が避難所生活を送るなかで、数百人を救うことが精いっぱいの無力さが、山田さんらの憔悴しきった顔ににじんでいた。
 
爺も「ラリーなんて1週間も風呂に入らないのが当り前、ツーリングと違い何があってもゴールしなければならない、極限状態を体験しているあなた方が、こういう現場では役に立つんだよ」と言われ、妙に納得した。
(じゃあ行くかと言われても、「仕事が」「家庭が」と適当な理由をつけて、結局行けないだろうが....)
 
避難所は今もテレビは見られないが、今やっている無神経なテレビ中継を見せたら被災者はみんな怒るよと、山田さんは言う。
 
原発が東京に必要ならお台場にでも作るべき。そうでなければわれわれに電気を使う資格は無いとも......
 
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山田さんが撮ったSSERのテントの炊き出しに並ぶ人たち。
昨日は不眠不休で働く自治体の人が、過労で亡くなったそうだ。
 
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すでに第二陣が現地に入り、今も炊き出しをやっている。
今夜、第3陣が出発、明日には現地入りするそうだ。
 
「自分にも何か出来れば」と、リュック1つでやってくるボランティアも増えているそうだが、自分たちの食事さえ作れずに配給を待つ被災者の列に並んでいる。

「いくらでもやることはあるが、何もできないボランティアはただ邪魔なだけ」
 
「徴兵制とまではいわなくても、「地震王国ニッポン」に住んでいる以上、災害ボランティアの訓練を義務化した方がいいのではないか」

「CMを流さないテレビ局なら、放送しないことが最大の節電」

「巨大な財源を東北復興に計上して、日本版ニューディール政策を実行すべき」

「どんなに時間がかかっても我々には帰る家があるが、彼らにはそれがない」

「あの惨状を見たら生きているだけで十分だ」


山田さん、カオルサンら現地を見てきた人たちの言葉は重い。

このあと近所のそば屋から出前を取ってもらい、二人が美味しそうにカツ丼を食べるのを見て、高倉健鶴田浩二を思い出した。


前述の山田さんのコラムから

 以下まことに暴論をお許しください。
ほんとうに暴論ですから・・・
まず1000兆円くらい刷りましょうよ。
円がそれで安くなっても良いではないですか。
多少のインフレは歓迎です。そしてばら撒くのではなく、
この東北に新しい国のシンボルとなるようなルネッサンスに。
その再興に、企業、人材を結集してはいかがですか。
莫大な雇用が生まれます。
バラ播きではなく計画案の策定のコンペに大きなコストをかけ、
首都もいっそ仙台に移転し関東に集中した機能と人口を分散すべきです。
また血で血を洗うゼネコンたちの仁義なき戦いと、
変な建物ばかりを撒き散らして作った建築や都市計画の先生方は、
今回は遠慮していただきまことに壮大で新しい計画を考えましょう。
ライフラインをやたら張り巡らすのではなく、
いや真っ先にやらなければならない復興は最優先ですが、
都市機能を徹底的に検討しましょう。
自分のところの電気は自分のエリアで賄うようにしなければなりません。
これを機に新しいエネルギー利用のシステムと調達システムの構築を試みましょう。
東北地区が世界に冠たる最先端エネルギーと、
世界で最も環境の守られたエリアとして生まれ変わらせるべきです。
世界の意最先端は、SF的な未来都市ではなく美しい田園都市じゃなくてはなりません。
いまこそ東北は千載一遇のチャンスを得ているということです。
すいません、寝不足の未明に、現地から余震の中で書きましたから。