今日はオシッコの話なので、食事中の方は食後にでも読むことをお勧めします。
ゴビ砂漠で熱中症になった私はそれからの数日間、脱水症状に苦しんだ。
ちょうどこの2002年がラストモンゴルということで、通常は翌年分も確保しているはずの物資や水も、余分には用意されていないうえに、ゴビ砂漠で熱中症になった選手が予想外に多く、飲み水が足りなくなったらしい。
レギュレーションでは一人3リットルが義務付けられていたのに配給は2リットル。
途中のCPで2リットルのペットボトルの水を3人で分けたりと、後半は水のない苦しいラリーだった。
ちょうどこの2002年がラストモンゴルということで、通常は翌年分も確保しているはずの物資や水も、余分には用意されていないうえに、ゴビ砂漠で熱中症になった選手が予想外に多く、飲み水が足りなくなったらしい。
レギュレーションでは一人3リットルが義務付けられていたのに配給は2リットル。
途中のCPで2リットルのペットボトルの水を3人で分けたりと、後半は水のない苦しいラリーだった。
熱中症の症状で顕著だったのは血尿と頻尿(ひんにょう)。
スタートして数分すると猛烈な尿意に襲われる。
我慢して走っても普通のオシッコしたい感覚とは違い、激しい尿意に耐え切れず、バイクを止めてオシッコするも、黒っぽい液体がドロっとしか出ない。
血尿は初めてなので自分の体がどうかなってしまったのかと、かなりショックを受けた。
スタートして数分すると猛烈な尿意に襲われる。
我慢して走っても普通のオシッコしたい感覚とは違い、激しい尿意に耐え切れず、バイクを止めてオシッコするも、黒っぽい液体がドロっとしか出ない。
血尿は初めてなので自分の体がどうかなってしまったのかと、かなりショックを受けた。
でもここに止まっていても仕方ないのでまた走りだすも、5分もたたずに激しい尿意に襲われる。
また仕方なくオシッコしても、相変わらずちょっとしか出ず、股間のあたりにいや~な残尿感が残る。
それからはもうアタマの中はオシッコのことでいっぱい.....。ラリーどころではなくなった。
何十回も止まりながら、なんとか日没前にキャンプに辿り着いたときは、熱中症でカラダもだるくなっていた。
また仕方なくオシッコしても、相変わらずちょっとしか出ず、股間のあたりにいや~な残尿感が残る。
それからはもうアタマの中はオシッコのことでいっぱい.....。ラリーどころではなくなった。
何十回も止まりながら、なんとか日没前にキャンプに辿り着いたときは、熱中症でカラダもだるくなっていた。
オフィシャルに水をもらいにいくと、
「キャンプも水不足で近くの村に買いにいっている」
とのこと。
ドクターのところに行けば水がもらえるというので、モンゴル人ドクターのゲルに行き、通訳を通じて説明をすると、ドクターが
「パンツを脱げ」
と言う。
よくわからずにパンツを脱ぐと、ドクターが私のオチンチンをギュッとしごき、ニッと笑いながら
「...あそんだのか?」
よくわからずにパンツを脱ぐと、ドクターが私のオチンチンをギュッとしごき、ニッと笑いながら
「...あそんだのか?」
と聞いた。
彼は私がどこかで悪いビョーキをもらったと思ったらしい.....。
もう一度ちゃんと通訳してもらうとドクターは、
「水をいっぱい飲め」
とおっしゃる。
「だーかーらー水が足りないんですよ」
「だーかーらー水が足りないんですよ」
と言うと、
「じゃあビールをいっぱい飲め」
と.....。
ビールは離尿作用があるので、脱水症状がひどくなると思いながらも、のどの渇きには勝てず
がんばって飲んだ(よけいに具合が悪くなった)。
がんばって飲んだ(よけいに具合が悪くなった)。
疲れに酔いも加わってなおさら熱っぽくなり、体もだるくてテントに横になったまま、
バイクの整備もタイヤ交換もやる気が起こらない。
バイクの整備もタイヤ交換もやる気が起こらない。
チーム4人でお願いしたメカの小宮さん(今は埼玉で「二輪工房」というバイク屋さんを経営)が、
見かねてタイヤ交換と整備をやってくれた。
見かねてタイヤ交換と整備をやってくれた。
ゾーモット。小宮さんありがとう
笑ってますがかなりバテてる
翌日からはずっと「オシッコ」との戦い.....。
ラリーはだんだん北上していくので、暑さもいくぶん和らいでいくけれど、
それでも我慢に我慢を重ねて、30分に一度オシッコタイム。
ついでに写真ばかり撮っていた。
それでも我慢に我慢を重ねて、30分に一度オシッコタイム。
ついでに写真ばかり撮っていた。
前を見ても後ろを見ても延々と続くダート.....
と、何もないルート上に突然「山」のマークが?(61.67キロ地点)
ほんとに山があった
このルートの左側を500m進むと、段差が数百メートルはある「ガケ」になっていて、朝のブリーフィングで
「落ちたら死ぬのでコースの左側は近づかないこと」
と言われていた。
怖いもの見たさで覗いてみると、垂直な崖がはるか下まで続いている。
数万年前か数億年前かわからないが、巨大な地殻変動で地球が「ズレた」ことを、
ガケ下を覗いてみてよくわかった。
ガケ下を覗いてみてよくわかった。
あるとき大平原の真ん中でパンク修理していると、なにか後ろに気配を感じる。
振り返ると10mくらい離れたところに大きな「鳥」が1羽、いつのまにか舞い降りていた。
振り返ると10mくらい離れたところに大きな「鳥」が1羽、いつのまにか舞い降りていた。
こいつ。
「ハゲタカ」という鳥はおらず、コンドル等の大型の鳥の総称らしいが、翼を広げるとかなりデカイ。
「こいつ、おれが死ぬのを待ってる....」
急いで修理していると後ろで「バサッ」と音が...。
振り向くともう1羽増えている。
私がにらむと彼らは目をそむけて素知らぬふりをするが、
こちらが背を向けるとスッと近づいてきて、私がどのくらい弱っているか確認している。
こちらが背を向けるとスッと近づいてきて、私がどのくらい弱っているか確認している。
いよいよヤバいと急いでいると、今度はアタマの上を黒い影がよぎった。
「?!」
上を見上げると数羽のハゲタカが、私の上を「旋回」していた......。
修理もそこそこにあわてて走りだしたけど、かなりスリリングな体験だった。
モンゴルにはいまだに亡くなった人を山に運んで、「神の使い」鳥に捧げる(食べさせる)「鳥葬」の習慣があるらしく、山の上を大きな鳥が何十羽も、旋回しているのを何度か見かけた。
この大会で亡くなったバイクの選手が、コースから数キロしか離れていない岩山で発見されたのは、軍隊も動員しての懸命な捜索にもかかわらず、ラリーが終わってから3ヶ月後の11月。
山に遊びに行った子供が、偶然バイクを見つけたらしいが、その山は鳥葬する場所でいつも鳥が飛び回っていたので、地元の人も気がつかなかったとか。
当時オフィシャルのヘリは2機あったけれど、両方ともかなり老朽化が進んでいた。
この1機は昔「オウム真理教」ロシア支部が所有していたものを、モンゴルのヘリ会社が買い取ったそう。
高度計が壊れていてガーミンのGPSを頼りに飛んでいた。
エンジンもだいぶヤレていて垂直上昇ができず、セスナのように滑空して飛んでいたが、みんな馴れたものでパイロットもウォッカ飲みながら、いつも酔っぱらってたような.....。
数年前NHKの取材時に1機墜落してしまい、現存するのはあと1機だけとのこと。
この1機は昔「オウム真理教」ロシア支部が所有していたものを、モンゴルのヘリ会社が買い取ったそう。
高度計が壊れていてガーミンのGPSを頼りに飛んでいた。
エンジンもだいぶヤレていて垂直上昇ができず、セスナのように滑空して飛んでいたが、みんな馴れたものでパイロットもウォッカ飲みながら、いつも酔っぱらってたような.....。
数年前NHKの取材時に1機墜落してしまい、現存するのはあと1機だけとのこと。
最終日のコマ図の最後には、主催者のヤマダさん直筆のメッセージが。
「この経験が人生を照らす道しるべとなることを」
私がこの経験から得たものは、「水さえあれば生き延びられる」ということだった。
逆にたとえお金があっても、水がなければ人間は簡単に死んでしまう。
今でも何か選択に迫られたとき「あのときに比べればなんてことないな」と達観できるようになったような.....。
速い人は速いなりに、私のようにおそい者でも、日常生活では絶対にあり得ない経験ができる、
それがラリーのいいところかもしれない。
「この経験が人生を照らす道しるべとなることを」
私がこの経験から得たものは、「水さえあれば生き延びられる」ということだった。
逆にたとえお金があっても、水がなければ人間は簡単に死んでしまう。
今でも何か選択に迫られたとき「あのときに比べればなんてことないな」と達観できるようになったような.....。
速い人は速いなりに、私のようにおそい者でも、日常生活では絶対にあり得ない経験ができる、
それがラリーのいいところかもしれない。
帰国してから数か月は血尿が続き、その後1年は「頻尿と軽い尿漏れ」に悩まされた。
その2年後ファラオラリーに出ることになり、真っ先に買ったのが「大人用紙オムツ」。
トップライダーやドライバーは、オシッコの時間ももったいないので、オムツをして運転していると聞いた。
モンゴルより暑いエジプトでまた熱中症になったとき、これがあればいちいちオシッコで、止まらなくていいと思った。
モンゴルより暑いエジプトでまた熱中症になったとき、これがあればいちいちオシッコで、止まらなくていいと思った。
でもこれがけっこうかさばる(1週間分)....。
この年の日本チームのサポートカーは、地元で借りたレンタカー、クライスラー・ボイジャーで、ハイエースほど荷物が積めず、選手には「トイレットペーパーは1本で芯も抜くように」とお達しがあるほど、荷物を減らしたけど、私はモンゴルのトラウマがあって、他の荷物は減らしてもオムツは無理やり積んでいた。
これがボイジャー。ごくフツーの乗用車
これがボイジャー。ごくフツーの乗用車
ファラオはレギュレーションでバイクに3リットル、ライダーが3リットルの計6リットルを持つけれど、道に迷ったり故障やトラブルで止まっていると、4輪参加者は水のボトルを投げてくれるし、CPでも水は飲み放題。
なので熱中症にもならず毎日ガブガブ呑んで、ずっと「水っ腹」。
オシッコもよく出て結局、オムツの世話にはならなかった。
サポートカーのドライバーは「世界のスガワラ」。
キャンプで荷物を広げていると、
キャンプで荷物を広げていると、
「それは何?」
と爺に聞かれ
「オムツ」
と答えると、
「トップライダーじゃあるまいし、そんなのいらないだろ」
とのたまう。
いいかげんジャマだと思っていたので捨てようとしたら、
「じゃあオレがもらう」」
って。
オムツが似合う。
この写真は門外不出で墓場まで持っていこうと思ってたけど、いちおう本人の許可はもらったので。
爺は長年のラリー経験から、一度スタートするとゴールまでオシッコはしないらしい(ホントは「おもらし」してるかもしれないけど、もう気がつかないのかな)。
オムツが似合う。
この写真は門外不出で墓場まで持っていこうと思ってたけど、いちおう本人の許可はもらったので。
爺は長年のラリー経験から、一度スタートするとゴールまでオシッコはしないらしい(ホントは「おもらし」してるかもしれないけど、もう気がつかないのかな)。
最後に爺の名誉のために。
ルートが南下して砂漠に近づくと、サポートカーが走る「国道」も砂に覆われて砂漠と化している。
サポートカーのボイジャーは4駆でなく、「2駆」のうえにノーマルタイヤ。
アスファルトが砂に覆われて、他チームの4駆のサポートカーでさえスタックしているその横を、ボイジャーが「スルスルと」走りぬけ、その場にいたみんな大喝采だった
ルートが南下して砂漠に近づくと、サポートカーが走る「国道」も砂に覆われて砂漠と化している。
サポートカーのボイジャーは4駆でなく、「2駆」のうえにノーマルタイヤ。
アスファルトが砂に覆われて、他チームの4駆のサポートカーでさえスタックしているその横を、ボイジャーが「スルスルと」走りぬけ、その場にいたみんな大喝采だった
と、助手席にいたサポートのマキちゃんが、キャンプで興奮してしゃべっていた。
おちゃめですがやっぱり「世界のスガワラ」です。