十数年前、当時乗っていた100RSが事故って廃車。
次は何を買おうか考えたとき、今でも好きな映画「ブラックレイン」の冒頭で、マイケルダグラスが乗っていたハーレーが欲しくなった。
昔、友人から譲り受けたハーレーに乗ったことはあるが、当時のハーレーは
「走らない、曲がらない、止まらない(おまけに壊れる)」
と3拍子(プラスワン)揃っていて、ツーリングに行った先で振動でメーターの針は取れるわ、マフラーは落ちるわと散々。
「爆音は聞こえるけど、いつまでたっても姿が見えない暴走族みたい」
と馬鹿にされ、半年ほどで手放してしまった。
30年前は今みたいに女子供がハーレーに乗る時代ではなく、クールスがチョッパーのカスタムを表参道で転がしていた頃だけど、テナガザルがぶら下がっているようなチョッパーが嫌いで、ただうるさいだけで何の興味も湧かなかった(イージーライダーは好き)。
でもブラックレインのハーレーはコンチハンにビキニカウルと、カフェレーサーっぽくてかっこいいが、名前がわからない。
なので環八の「リンドバーグ」にハーレーの本を探しに行った。
店内を回っていてふと目にとまったのが、この「サハラ自動車探検隊」。
ページをめくるうちに突然、
「パリダカに行こう!!!」
とあたまの中で「バチッ」とスィッチが入ったのを、今でも鮮明に覚えている。
この数年前「第1回ロシアンラリー」が開催され、当時の主催者に知人がいて誘われた。
その頃はK100に乗っていて、オフロードバイクは未経験。
でも彼の
「シベリアの大地をバイクで走ったら気持ちいいぞ~♪」
の甘い誘惑にのって、参加してしまった。
友人からXRバハとヘルメットからブーツまで、すべて借り物での参加だったが、
「1000ccに比べれば250なんてカルいもんさ♪」
とナメていた私は、ウラジオストックをスタートしてすぐ現れたダートに、
「なんで道路が舗装してないの?」
「なんで道路に石(岩)があるの??」
とあたまの中は「???!!!」。
石をよけるためハンドルを「切りながら」、ゆっくり走っていたが、あまりの多さに何度も転倒。
キックは何百回やってもかからないし、増水した川で流されそうになるわ、砂浜は埋まって走れないわ
4日間終ってボロボロで帰国後は、
「もうオフ車なんて二度と乗らない!」
と固く心に決めていたのに....。
本を買ったその足で馴染みのバイク屋さんに行き、
「オレ、パリダカに行くからオフロードバイクちょうだい」
と、発売間もないDR250を買った。
「パリダカといえばキャンプだ!」
とそのまま世田谷の風魔プラスワンに行き、テントから寝袋、ガスコンロ、ついでにヘルメット、ウェア、ブーツ一式をその日のうちに揃えた。
ここから「夢のような日々」が始まった。
写真はその「サハラ探検隊」とパリダカ創始者「ティエリーサビーヌ」。
この本は1922年にシトロエンが、サハラ砂漠でテストを兼ねた「探検」をするところから始まり、TBSの「キャラバンⅡ」(懐かしい)の途中、サハラで初期のパリダカに出会った、横田さんやじ~じら日本人先駆者たちが、2駆のカリーナに始まりパジェロや日野レンジャーで挑む、93年大会までが載っている。
何百回も読んだのでもうボロボロだけど、自分にとって「人生を変えた一冊」。
例のハーレー、「XLCR」という当時でも希少車なのはわかったけど、移り気な私のアタマにはもう影も形もなかった....。
今でもブラックレインのDVDを見るたび、このハーレーが一番かっこいいと思う。
https://www.youtube.com/watch?v=6hRPpSgVJ1w