R1250GS カフェしなの

R1250GS、事故で廃車から買い替えました

ひさびさの

 
「扉温泉」で旅館を経営していたKさんから、「土地を売りたい」と相談されたのが、去年の暮れ。
築100年以上の旅館は東日本大震災の影響で、耐震補強に多額の費用がかかるため運営を断念し、2年前に廃業していた。
このKさんは密教の「修験者」で、上級の霊能者でもある。
私も何度か泊まりに行って、読経するKさんのすぐ横で、白い大蛇がとぐろを巻いていたり、神さまが降りてきて光に包まれたりと、スピリチュアルな経験をした。
 
旅館の近くに持っていた土地は手放さず、ここでもう一度旅館経営も考えたが、
Kさん曰く「神さんに聞いたらここはダメっていうから、手放すことにした」って。
 
冬のあいだは雪で行けないので、春になったら行く約束をしていたが、
父の葬儀や母の入院などで、なかなか行けなかった。
 
中央高速は渋滞するので行くならバイクでと思っていた。
やっとGSも治ってきて、日曜日ポッと時間が空いたので、
Kさんに連絡すると「現地で待っている」とのこと。
 
妻に話すと「天気もよさそうだからツーリング日和だね」って。
いえいえ仕事ですから。
 
世のお父さん方は奥様から、
「休みの日くらい子供の相手して」とか、
「たまには家事手伝って」と言われるらしいが、
我が家は毎日私が子供の送り迎えをするので、子供も私にベッタリ。
洗濯も食事の後片付けも大好きで、大ざっぱな妻には触らせたくない。
なのでふだん子供と一緒にいられない妻から、
「休みの日くらい自転車かバイクで出かけてくれば?」と、いつも言われていた。
でも
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出かけようと思っても、こんなカワイイ寝顔見ちゃったら、「やっぱりや~めた」って。
でも今回は仕事なのだ。
 
5時半に目覚ましが鳴る前に起き、おにぎりを握って昨日ナップスで買ってきた、シールドを交換。
このヘルメット、当時よく見ずに購入したらシールドがスモークで、夕方になると暗くてよく見えない。
それでも数年使っていたが、視力も悪くなったので、今回やっとクリアを購入した。
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って6時半に出発するつもりが、寝ている娘の横に寝転んでイチャイチャしてたら、7時になってしまった。
 
談合坂SAは大混雑。
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バイクで来るのは2年前、蓼科に行って以来か
ってことはこの2年ほど、バイクで都内を脱出していなかった..........
 
私のバイクの横に250のスクーターと、250のロードバイクが停まった。
なんとなく会話を聞いていると、どうやら親子らしい。
父   「どうだ、怖くなかったか」
息子  「初めて高速乗ったけど、楽しかったよ」
父    「高校生でツーリングするヤツなんて、たぶんお前くらいだな」
 
???高校生!!!
たしかにヘルメット越しに見える彼の顔は、まだあどけない。
 
息子との初めてのツーリングを楽しんでいる様子が、お父さんのうれしそうな顔を見て分かった。
こんな親子が昔はもっといたはずだが。
私も父親と一緒に走りたかった。
ハンドルから手を離せば倒れてしまう、バイクは危ない乗り物だけど、
こんな親子がもっと増えればいいナ
 
これだけバイクがいても、誰も知り合いがいない。
つまらないので作ってきたおにぎりを食べ出発。
 
高速を走りながら、30年前バイクで実家に帰ったことを思い出す。
当時の中央高速は勝沼までだったので、R20からR141で清里を抜け、R18から菅平を超えて帰省していた。
その後、関越自動車道ができたが、まだ高崎か前橋が終点で、渋川から長野原を抜けて、菅平か遠回りして志賀高原経由で帰った。
碓井バイパスも連休は大渋滞で、東京から長野まで12時間かかったことも。
ポルシェの重いクラッチを渋滞で止まるたび何千回も踏んでいたら、実家に帰ったときには腰が痛くて、クルマから一人で降りられなかった。
冬休みにバイクで帰省したときは、清里までは雪が無かったが、野辺山から下りが路面凍結していて、何度も転びながら里に辿り着いた(よく生きていたものだ)。
ゴールデンウィークはバイクにスキーを積んで(立てて)、志賀高原にスキーにも行った。
本当に何百回、この道を走ったことか。
 
昔は160km/hで巡航しても、バイクに乗ること自体が楽しくて仕方なかったが、
今はヘルメットの風切り音が気になり、なによりカラダに受ける風圧が、つらく感じる(トシとったのかナ)
 
それでも今日は梅雨の晴れ間で気持ちがいい。
クルマの流れに逆らわず、100~120km/hで巡航していると、
GSの「ブーーーン」というエンジン音が心地いい。
 
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諏訪湖で休憩したが、すでに9時を過ぎていた。
待ち合わせは10時なので、少し遅れる旨をメールでKさんに伝えて出発。
仕事柄いろいろなところに行くので、バイク用ナビのズーモは便利だが、今日は塩尻北で降りるよう指示が出た。
松本で降りるんじゃないの?と思ったが、ひょっとして近道かな?と思い、ナビの指示通りに降りる。
 
スタンドで給油したら店員さんに、「どちらまで?」と尋ねられたので、「扉温泉」と答えると、
「松本で降りたほうが近いですよ」と言われた.....
この時点で9時半過ぎ。10時には間に合いそうにない。
塩尻で降りたならビーナスラインから扉峠を通って行きたかったが、もうそんな時間はない。
ナビは国道から外れた裏道を細かく指示して、狭い道をチョコチョコと走らせる。
「本当にこれで合っているのか?」と、ちょっと不安になったところで、見覚えのある分岐に出た。
そこから延々と山道を登り、着いたのは10時半。
いちおう地図も持ってきたが、開くのが面倒なのでナビ頼みに。
これなら緯度経度を入力してGPSで走ったほうが、はるかに早かったかも(もうGPS持ってないけど)
 
Kさんはご夫婦で待っていてくれた。
クルマとバイクでさっそく土地を見に行く。
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こんなところ
 
左の橋を進むと
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作務衣姿しか見たことなかったが、今日のKさんは月亭可朝みたいな帽子かぶって、
チョイワルおやじ風。
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橋の左がダム湖になっている
こんなところがあったのか。
このダム湖は通年禁漁らしいので、橋の上からみても魚がたくさん泳いでいた。
別荘というよりレストランやオーベルジュにいいのかもしれない。
 
「そば食べ行こう」と誘われ、Kさんのクルマのあとをついて、山道を登って下って着いた先は
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桜清水茶屋
地元ホテルの経営で、冬は雪で閉鎖されるため、営業していないらしい。
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左の神さまは天手力雄神、右は不動明王
横を向いた神さまは珍しい。
大昔、スサノウノミコトの悪行に怒ったアマテラスが天岩戸に隠れ、世界が真っ暗になった。
八百万の神が相談してアマテラスを岩戸から誘いだしたとき、顔を出したアマテラスを怪力の天手力雄神(アメノタジカラオ)が引きずり出し、岩戸を運ぶ途中でこの扉温泉に立ち寄ったとか、ここから岩戸を投げたら、戸隠神社まで飛んでったとかなんとか....
なのでこれは「岩戸を押している図」。
 
Kさん曰く「うん、{うすいけど}神さん来てるね」って(私にはわからない世界である)。
 
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お昼どきだけど空いていた。
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ウドやゼンマイ、コゴミなど山菜
子供のときから食べ慣れた味で、ホッとする。
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Kさんとおかみさんは知り合いらしく、山ぶどうのジュースをサービスしてもらった。
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イワナを焼いていただく
子供のころ近くの小川で釣りをしていたが、飽きるとタモをもって川に入り、振り回していたらイワナが捕れた。
この川は「水ゼり」も群生していたが、地元は誰も食べない。
20年前、六本木の母が遊びに来たとき、この川へ連れて行ったら、
「これはクレソンっていうのよ~」と狂喜乱舞して、ビニール袋にいくつも取って帰った。
 
天然モノは身がしまっていて、よほど大物でないと食べた気がしないが、
池の養殖イワナはまるまる肥っていて、美味しかった。
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山菜のてんぷらに
 
炊き込みごはん
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そしてそばも美味しかった
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扉温泉からここまで10キロくらい。
途中の林道は舗装してあるのにほとんどクルマが通らないので、
Kさんのクルマの後ろを走りながら、「ここで自転車イベントやったら楽しいだろうナ」なんて、考えていた。
 
Kさんに別れを告げて、何十年ぶりかでビーナスラインを回って帰ることに。
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気持ちよくて2往復してしまった。
でもコーナーで迫ってくるガードレールやコンクリートウォールを見ると、先日のマン島の事故を思い出してしまう。
バイクに乗るときはプロテクターを着ているが、柔らかい肉や骨は、アスファルトや石垣の前では無力に等しい。
ネックブレースもすればよかったと思うが、後ろを振り向きづらいのでかえって危険。
かっ飛びレーサーレプリカに道を譲り、ハーレー軍団のあとについてのんびり走りながら、
無理せずに無事家に帰ることを心がける。
 
時計を見たらもう3時。
そろそろ中央高速の渋滞が始まってしまう。
 
甲府勝沼のあいだで事故渋滞。
すり抜けも疲れるので、だれか上手に引っ張ってくれるバイク乗りを探すが、
みんなバカっ速いかトロトロ遅いかで、かえって疲れる。
遅いヤツに限って、センターライン寄りに走るクルマを、マフラーの爆音であおったり、パッシングして道を空けさせているが、速い人はきれいにすり抜けている。
 
勝沼を抜けても小仏トンネルと八王子で渋滞30キロ以上......
休憩するのも面倒でそのまま走り、帰宅したのは笑点が終わりかけの6時前。
 
ひさびさのツーリングはとても疲れた(あっ仕事だった)