R1250GS カフェしなの

R1250GS、事故で廃車から買い替えました

夢の春日橋アゲイン

フラットのT君から修理中のGSが仕上がったと、連絡をもらった。
去年の12月から1か月以上、長期入院していたGS。
 
2年くらい前から低速が不安定で、信号待ちで止まったり、低速で走行中エンストしそうになる。
仕事のアシとして都内を走ることの多い私は、乗るたびにストレスがたまっていった。
 
おやじさんが存命中に何度か診てもらったが、日本一のフラットツインマイスターでも、ついに原因が分からなかった。
 
おやじさんの志を継いだT君から
「もういちどイチから見直したいので、預からせてください」
と申し出があったのが12月のこと。
 
代車に借りた650GSも1か月を超えてしまい、チョークもなく電子制御でキュルキュルポン。
車高が低くて足つきもよく、スクーター並みに乗りやすい650に、すっかり慣れてしまっていた。
 

我が家には駐車場が無いので、近所のマンションの1階駐車場をお借りしている。
100GSも駐車場の空きスペースに置かせてもらっているが、約10年間、盗難の心配はなかった(なぜかは「GS伝説その1」を参照あれ)
 
100の修理でじ~じの1200GSをお借りしたときは、さすがに盗まれたら大変なので、1階事務所の軒下に停めていたが、狭いので出し入れが大変だった。
 
650は軽くて小回りが利くので出し入れはラクチンだが、盗むのはプロの窃盗団。
ハンドルロックもお構いなしに持っていくので、心配だった。
そんなことを露も知らない娘は
「パパ~、きいろいばいくってかわいいね~」
と、けっこうお気に入りだった。
 
T君がエンジンをバラして徹底的に調べたGS,
どうやら原因は3年前に取り付けた、エンデュララストがイタズラしていたらしい。
 
エンデュララストを外してノーマルコイルに戻した状態では、明らかに症状が改善されていた。
K内さんらのGSは何の不具合もないのだが、私のエンジンはおやじさんの手が入っていて、圧縮比やバランスが違うらしい
(ホント、アリガタミヲシラナイヤツダネ)。
 
T君は
「ひょっとしておやじの組み方が悪かったのかも?」
とずっと思っていたようだが、やっぱりおやじさんはすごかったって。
 
「クランクまでバランスが取ってあって、本当にいいエンジンです」と、
改めてお墨付きをいただいた。
 
おやじさんにチューニング&O/Hしてもらって6年、
4万5000kmを走っていたエンジンは、原因究明のためバラしてみたら、ピストンにカーボンがベッタリ。
バルブやリングもかなりヘタっていて、改めてO/Hすることに。
シリンダーもブラストをかけてもらったり、
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ピッカピカ
 
細かい部品もいろいろ交換してもらったら、ちょっとしたカーボンバイクが買えるくらい費用が.....
 
もう寿命かと思っていたが、また延命治療されてしまった。
国産メーカーと違い何十年たっても、フツーにパーツが出てくるBMWは、ありがたい反面、部品を換え続ければ半永久的に寿命が無い。
 
「元金は受け取らず、不当に高い利息を取り続ける、ヤミ金みたいだなぁ」
って、ふと思った。
 
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エンジンをかけるとちゃんとアイドリングしている
(これだけで感激って、どれだけ悪かったのか.....)。
T君とサービスのUさんにお礼を言って走り出す。
 
お店のすぐ先に、池上通りの上にかかる「春日橋」がある。
エンジン不調をおやじさんの魔法で直してもらったあと、この橋を超えるとき、
ビーエム独特の「ブーーーーン」ではなく
「シュィーーーーーン」とどこまでも吹け上がるエンジンがたまらなくて、
「夢の春日橋」と呼んでいた。
 
まさにこのときがひさびさの「夢の春日橋アゲイン」
 
単気筒の650では、いくら快調でもこの音は出ない。
気持ち良くてずっとアクセルを開け続けた。
 
 
足つきの良い650は安心して乗れるが、やっぱりシートの高い100のほうが、乗ったときの「ひざの収まり」がいい。
 
空冷エンジンは50年も前の設計。
昔は昼間ライトをつける法律はなかったが、今は整備不良で捕まってしまう。
私のようにツーリングより仕事のアシとして、都内の渋滞のなか、信号でストップアンドゴーを繰り返す乗り方では、あっというまにバッテリーがあがってしまう。
 
エンデュララストを付けてから、バッテリーあがりの心配はなくなったが、これからはまたまめに充電をしなくては。
それでもこの爽快感を味わってしまったら、充電の手間は仕方ないだろう。
 
エンデュララスト、ノーマルエンジンなら問題なし。
半額でいいので誰か買ってくれないかな。
 
そのあと仕事で埼玉の上尾まで行った。
この冬一番の寒さだが、マックスフリッツのインナーにジャケットでは、暑いくらい。
パンツもウォームパンツ。
この冬は一度もヒートテックを履いていないが、本当にあたたかい。
 
平日の昼間なのに首都高も空いていて、気持ちよく走れた。
気持ち良すぎてスピード違反で捕まらないか、心配になるくらい。
 
上尾のコンビニでトイレ休憩。
ついでに肉まんとあんまん、ホットコーヒーを買って、停めたバイクにもたれて食べる。
走っているときは感じなかったが、顔にあたる風が冷たいことに、改めて気づく。
 
と、下を見ると黒いシミが。
オイル漏れかと思って見ると、フューエルストレーナーからガソリンが、ポタポタ漏れている。
T君にエンジンが復調した報告がてら診てもらおうと、もう一度フラットへ。
ストレーナーをキレイにしてもらい帰ろうと思ったら、前から気になっていた試乗車が目に入った。
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RnineT
ちょうど時間もあったので、試乗をお願いした。
2階で同意書にサインするとき、社長のAさんが
「物損保険は入ってませんから、{なにかあったら}買い取っていただきますヨ❤」
と、うれしそうに念を押された(気を付けます)
 
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それにしても2階のショールームで見かけた、最新型の1200GSA、
Gショックのようなゴツさ、ますますガンダム化しているような.....
こんなゴツイのに乗って、ダートを走る人の気がしれない。
 
 
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T君に車道まで出してもらい、エンジンをかける。
アクラポビッチのマフラーがついているので、かなりうるさい。
朝と同じ春日橋に向かって走り出すが、ほんの10m走っただけで
「これイイ」と直感した。
 
こんな気持ちは2004年、
初めてのファラオに出るバイクで悩んでいたとき、群馬のK山君から
「ぼくのバイク乗ってみます?」と言われて、赤城の林道で乗ったKTM625SXC以来。
その前のモンゴルで同じエンジンの、640アドベンチャーにはイヤというほど乗ったが、ゴビ砂漠の「周り」しか走らないモンゴルラリーと違って、本物の砂丘を走れるのかかなり不安だった。
 
それが625に乗って林道を10m走った途端、
「これだ!」と直感した。
 
625はFCRキャブがついていて、エンジンの吹け上がりが「モッサい」アドベンチャーの比ではない。
群馬からの高速の帰り道,
携帯で興奮しながら625を注文していたら、40km/hオーバーでオービスに写真を撮られた........。
 
あっという間に春日橋のゆるい右コーナー。
でも楽しくてアクセルを緩める気にならない。
レーサーみたいによく回るエンジンに加え、ブレーキもよく効く。
ハンドルのポジションもすごくいい。
 
メディアに登場したとき、旧車っぽく作ったよくあるバイクかと思って、試乗はしなかった。
ジャーナリストと言う人種が賞賛する記事を書いていたが、彼らは褒めるのが仕事なので読みもしなかったが、これは本当によくできている。
 
馬込の手前で工事渋滞したいたので、左折して住宅街を走るが、マフラーがうるさいので低速でゆっくり走る。
お店に戻ろうと環七を右折。
不用意にアクセルを開けたら、おもいきりテールが流れて焦った
(一瞬「お買い上げありがとうございます」と、A社長のニンマリした顔が浮かんだ)
 
往復2キロくらいしか走っていないが、お店に戻りT君の顔を見たとたん、
「これいいね~」と興奮していた。
 
T君曰くかなりフラットの手が入っていて、マフラーをはじめハンドルはHP2を流用。ノーマルより2センチ高く、かつ手前に引いて、左右を3センチ短くしている(納得)。
 
フレームが固いのでリアフレームを取ったり、サスで細かい調整がされているとか。
 
100GSが治らなかったらこれもいいかと思ったが、このバイクの用途はなんだろう。
ノンカウルでツーリング向きではないし、都会を走るのがちょうどいいのか。
乗りやすい650で唯一不便だと思ったのは、パニアケースが無いこと。
ちょっとした書類や荷物が積めず、困ったことが何度もあった。
 
このバイクにパニアは似合わないし、仕事で使うにはちょっと不便。
今更カフェレーサーを気取って乗る気もないし、やはりセカンドバイクかもしれない。
 
乗り出し価格200万以上では、そんじょそこらの若造には手が出ない。
購買層は40代以上の中高年だろうが、見かけはレトロなクラブマンぽくても、レーサーみたいな軽量ボディに、100馬力以上の凶悪エンジンでは、何十年ぶりにバイクに乗るようなリターンライダーや、中年になって初めてバイクに乗る、おやぢの手に負えるものではない(私なんてスピードに目がついていかなかったし)。
買った人はくれぐれも気を付けて。
 
 T君にお礼を言って帰ろうと思ったが、レーサーみたいなバイクのあとで100に乗ったら、せっかく絶好調になったのにガッカリするかも.........
 
案の定、100で走り出した先の春日橋。
いくらアクセルを開けてもコーナーが迫ってこない。
 
でも以前、スガワラじ~じの1200GSを借りたとき、あまりの速さとブレーキの効きに驚いたのと同時に、
「これに乗り続けたらオレ、いつか死ぬなぁ.....」と感じたのを思い出し、
 
「やっぱりコイツ(100)がちょうどいい」と再認識した、夢の春日橋だった。