R1250GS カフェしなの

R1250GS、事故で廃車から買い替えました

安全について

BSでエジプトの白砂漠を旅する番組をやっていた。
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2004年、初めてファラオに出たとき、この白砂漠を走った。
 
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ラリー2日目でこの息をのむような、美しい光景に出くわした。
こんな風景は2年前に走ったゴビ砂漠にもなかったので
ラリー中なのにバイクを停めて、初めて見るマッシュルーム型の奇岩を触ったり、写真を撮っていた(その後の転倒でカメラを壊し、写真は残っていない)。
 
砂が白いところは「フェシュフェシュ」
龍角散のように細かい砂が、深いところは1mくらいあり、数十mから数キロまで続いている。
日野レンジャーでもフェシュフェシュを避けて、何キロも迂回することがあるという。
 
路面に大きなギャップがあり、トップライダーはかっこよくジャンプを決めるので、ラリーでおなじみのフランスの、「マインドルーフォト」のプロカメラマンが、フェシュフェシュを超えたところで待機していた。
かっこよくジャンプできない私でも、数メートル飛んでかなりビビったのを、今でも鮮やかに思い出す。
 
このときはフェシュフェシュの長さが50mくらいだったので、アクセルを開けてなんとか超えられたが、深いと前輪がハマって、おもいきり前転する。
 
フェシュフェシュにハマって出られず、リタイアしたライダーもいたほどで、
その日のキャンプ地では、ドリフのコントのように全身真っ白のライダーを、何人も見かけた。
 
ギザのスタートから2日間、500kmくらい走っていたので、サハラ砂漠のかなり奥地かと思っていたが、BSのテレビクルーが現地ガイドの車に乗って、ギザから100kmくらいにある白砂漠を取材していたので、町から意外に近かったらしい。
 
ラリーのルートはまっすぐ走れば100kmのところを、蛇行や遠回りを繰り返させて何倍にも距離を伸ばすが、どこも同じ景色なので気が付かないことが多い(って私だけ?)。
 
バイクや車のワダチがたくさんあるからと、安心してついて行ったら、
いつのまにかワダチが無くなる…..
 
なんてこともよくあるが、前日のルートの逆走だったり、去年のルートだったり。
砂漠は風が吹いてワダチが消えると思っていたが、意外に何年たってもしっかり残っているらしく、何度だまされたことか(私だけ?…..)
 
 
イスラム国問題で、中東やアフリカは渡航自粛の国が多い。
 
毎年10月に開催されるが、去年はエジプトテロの影響で延期になっていた。
さすがに再延期はできないのか、それとも主催者のイタリア人に
「テロには絶対遭わない」という、よほどの自信があるのか、
ヨーロッパを中心に多数のエントリーがあるようだ。
 
昨日、仕事で上尾に行った帰り、久しぶりにKTM埼玉のF宅さんに会いたくて、お店を訪ねた。
あいにくスペイン研修中とかで金曜帰国らしいが、
ここでもエジプトの砂漠ライディングツアーをやっている。
 
若いスタッフに
「エジプトもテロで大変では?」と聞くと
 
「走るのはカイロから遠く離れた田舎なので、全然大丈夫ですよ」と話していた。
 
田舎だからテロリストがいないなんて、何で言えるのか。
飛行機は必ずカイロ国際空港に到着し、砂漠のある町まで車での移動になる。
都会のカイロより田舎のほうが人目に付きづらく、襲撃や誘拐はやりやすいはず。
 
中東でもエジプトは特に親欧米の国なので、
イスラム過激派からすれば明らかな「敵国」。
南に下れば隣国は、悪名高き独裁国家スーダン
 誰かと誰かが手を組む可能性は、いくらでも考えられる。
 
むかし湾岸戦争が起きたとき、顔見知りのイラン人に
フセインとブッシュ、どちらが嫌いか?」と尋ねた。
 
「悪いフセインvs善いアメリカ 」という構図が、西側では当たり前だったので、
てっきり「フセイン」と答えるかと思ったら、
 
「もちろんブッシュさ、だって彼はイスラム教徒じゃないから」と言われた。
 
 あとになって思えば本当に愚問だったが、彼らにとって信じられる身内は、
同じ教義を信じる信徒と一族だけで、あとはみんな「異教徒」。
 
イスラム教もシーア派スンニ派クルド人など、細かい教義の違いや人種で
敵対しているのは周知のとおり。
 
イスラムの教えも知らない日本人が、
「まさか自分は大丈夫だろう」という過信が、被害につながるかもしれない。
 
ハロウィンで馬鹿騒ぎをし、クリスマスにケーキを食べ、元日は神社に初詣、
バレンタインにはチョコをもらって喜ぶ.....。
 
イスラム教の力士が本場所中にラマダンをやっていても、メディアは面白おかしく取材するだけで、ラマダンやイスラムの本質に触れる報道はされない。
 
あらゆる宗教がごちゃまぜながらも、安全な日本で暮らす我々は、本当はすでに身近に迫っている危険に、まったく気が付かないでいる。
 
海外に行ってまず驚くのは、空港で自動小銃を抱えた迷彩服の警備兵が、たくさんいること。
日本の空港で自衛隊や警察が、武器を手に厳しい目で警備していることなどありえないが、これでテロを防げるのか。
 
先日はインドに旅行した女子大生が、現地で暴行されたニュースがあった。
たしか少し前にも同じような事件があったばかり。
 
インドや中東など辺境地の一人旅が好きな、知人の20代女性は
 
「あぶないところは行かないから、私はぜったい大丈夫」
と言っている。
テレビで邦人女性が被害に遭うたび、彼女でないことを祈っているが、
ヨーロッパもアメリカもアジアでさえも、海外に危険でない国などないことに、
被害者になる前に早く気付いてほしい。
 
日本にいる外国人をすべて追い出し、江戸時代のように「鎖国」できるならいいが、
外国人観光客を呼び込むことばかり考えている今の風潮には、危なっかしさが感じられてならない。
「人類みな兄弟」という盲信を捨てて、自分の身は自分で守ることに、
 日本人全員がそろそろ気が付かないと、取り返しのつかないことが起きる気がしてならない。