R1250GS カフェしなの

R1250GS、事故で廃車から買い替えました

スラックライン

ゴールデンウィーク後半は4、5、6日で長野に帰省。
4日は5時半に自宅を出発。
新しくできた首都高の大井トンネルはガラガラで、関越の練馬まで30分で行けたが、連休後半ということでクルマが多く、軽井沢まで流れたり渋滞したりの繰り返し。
 
妻の知人家族から戸隠の「ちびっこ忍者村」が楽しいというので、今回行ってみた。
20数年前から営業しているというが、まるで知らなかった。
 
カーナビは長野ICで降りるよう指示するが、ちょうど善光寺の御開帳で長野市内は大渋滞。
戸隠のバードラインは善光寺の上にあるので、御開帳渋滞にハマること2時間。
9時に長野ICを下りて七曲りを抜けて、戸隠手前の大座法師池に着いたときはもう11時。
これなら小布施か中野ICで降りたほうが早かっただろう。
 
戸隠は高校生のころからよくクルマやバイクで通ったが、むかしはそれほど人気が無くこんなに混まなかった。
吉永小百合がJRのCMに出た数年前から戸隠は中高年のメッカらしい。
パワースポットブームも相まって、平日でもサンデー毎日の観光客のクルマで、渋滞している。
 
大座法師池を過ぎて戸隠の中心部を目指していると、
「忍者村臨時駐車場」の看板が見え、その先で渋滞が発生している。
 
もう4キロ先の忍者村の駐車場には停められないだろうから、あわてて臨時駐車場に車を入れたが、臨時駐車場もほぼ満車。
 
忍者村へのシャトルバス乗り場には100人以上の親子が並んでいる。
しかたなく待っていると戻ってきたバスから降りた客が、
「戸隠の町中も大渋滞で忍者村まで1時間以上かかる」
と言うのを聞いて、
「今日はやめて明日出直そう」と即断した。
 
「にんじゃむらにいきたい~」と泣き出す娘に
「大座法師池でボートに乗ろう」
となだめて満員の駐車場を後にした。
 
霊峰戸隠は昔から心霊スポットとして有名。
霧の夜、大座法師池に浮かぶ女性の霊や、
深夜の大峰城の駐車場でクルマのカップルを覗き込む、ヨロイカブトの落人の霊。
バードラインを外れたところにある廃病院で、自分の首を持った患者の霊,,,,,,,,
などあげればきりがない。
 
ちょうど昼なので大座法師池のそば屋に入ったが、大勢の客が並んでいる。
 ペルーのマチュピチュのように平地がほとんどない戸隠で、
猫の額ほどのソバ畑でそばを作っても、観光バスで押し寄せる客には足らない。
戸隠出身の知人から
「そば粉もてんぷらのエビも外国産で、地元産のものは{水}くらいなもの」
と言われてから、ここでそばは食べたことが無い。
「長野生まれなら蕎麦が好きでしょ?」
と必ず聞かれるが、
じつは長野県民は蕎麦よりうどんが好きだったりする。
 
お目当ての白鳥のボートは1時間待ち。
待つのが嫌いな我々夫婦は「はくちょうさんがいい」という娘の言葉を無視して、迷わず手漕ぎのボートに乗り込む。
天気はいいが風の強いなか、なかなか進まないボートに苦戦しながら30分、
とりあえず娘が喜んでくれてよかった。
 
池の周りにはキャンプ場とアスレチックコースが

 
むかしは怖くて乗れなかったグラグラ揺れる吊り橋も大喜び
おねえさんになったものだ。
 
また長野方面に下りて渋滞にハマりたくないのと、このまま母親の病院に見舞いに行こうと、飯綱方面に下りていく。
 
途中の18号沿いに「サンクゼールワイナリー」の看板を見つけた。
昔からよく聞く名前だが行ったことが無かったので、寄ってみた。
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ブドウ畑に囲まれた日本とは思えない空間
 

長野を一望できる丘の上には、結婚式を挙げる教会もある。
レストランで食事をしようと思ったら、3000円と7000円のコースしかない。
お上品なレストランで娘に我慢を強いるのはかわいそうなので、あきらめて他で食事をすることに。
とりあえずせっかく来たのだからとワイナリーに隣接するショップを覗くと、
自家製のソーセージが食べられるらしい。
 
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ひろい芝生でランチ
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1000円のソーセージ盛り合わせを頼んだら、東京では考えれらないボリュームで食べきれないほど。
 
朝早かったのでおなかもいっぱいになった娘は、クルマに乗ったとたん爆睡。
新緑の高原のなかを走りながら、母親の病院へ向かう
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娘が母の髪をとかしてあげると、母の眼にみるみる涙があふれた。
 
看護師さんから
「今朝おはようって話しかけたら、おはようって言われたんですよ」
と言われ驚いた。
 
もちろんはっきり話せるわけではないが、毎日娘が話しかけていたら
「ひょっとして?」と思ってしまう。
寝たきりになって2年、胃ろうもしているのでもう歩くことも話すこともできず、
このまま少しずつ衰弱するのを見ているしかないのが、毎回申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
 
「おばあちゃん、またくるね」
と言って娘が母のおでこにチューしたら、マヒしてほとんど動かない手を必死に動かして、愛おしそうに娘のあたまをなでていた。
 
「せめてもの救いは孫を見せられたことか」
と自分に言い聞かせ、病院を後にした。
 
前回帰省したとき小布施橋の下で見かけた「スラックライン
 
帰りがけにそのメッカという小布施の浄光寺に寄ってみた。
 
今や観光地として有名な小布施の市街を抜け、山に向かって走っていくと
 
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本当に山を背にしたところにそのお寺はあった。
 
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お寺にはおよそ不似合いなヒップホップが流れるなか、大人に交じって小学生から高校生くらいまで10人ほどが、スラックラインを飛んでいた。
ラインの高さにより初級、中級、上級と分かれていて、本当に無料で誰でも飛ぶことができる。
とはいえ初心者が当然飛ぶことなどできず
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ママに支えてもらいながら、おっかなびっくりやっている。
こちらが初めてとわかると、誰かしらやってきて親切に教えてくれる。
 
一番夢中になったのが妻、
飽きずに何度も繰り返しやっていた。
 
「片足で5秒停止」が初級の初級というが、
いざやってみるとひざがガクガクして、それすらむずかしい。
 
その横の上級でポンポン飛んでいる中学生が、本当に同じ人間かと思うほど。
(ここにいる中高生は全員が全国レベルとか..........)
 
住職さんがいたのでお話しした。
 
私  「これが東京なら30分3000円でも行列ができますよ」
 
住職 「お金儲けが目的ではないんです。未来の宝である子供たちが家に閉じこもってゲームばかりしないで、おもいきり遊べる場所を作ってやりたかったんです」
とのこと。
ここは昔駐車場だったが、だれかが始めたスラックラインが口コミで広まって、今では常設の練習場になっている。
 
「坊主無税」と税金も払わずに高級外車を乗り回したり、銀座の高級クラブで豪遊して遊び呆けているクソ坊主が多いなか、こんな住職のためなら1本1万2000円のスラックラインを買って帰りたかったが、悲しいかな東京にはラインをやる場所が無い。
 
先日、保育園の親子が林試の森公園に集まって遊んだが、誰かが持ってきたハンモックを木に吊って子供たちと遊んでいたら、公園の管理事務所から
「木が傷むからやめてください」と注意された。
 
住職に東京ではやれるところが無い話をすると、
「東京の公園はスラックラインが禁止されている」とのこと。
 
お金を払っても数か所のスポーツジムでしかやれないのでは、伸び盛りの子供に習わせられない。
 
スラックラインは最初は地面から30cmの低いところから始めて、徐々に高くしていく。
そのあいだに何度も落ちたり失敗を繰り返し、自分でケガをしないよう注意したり考えながら上手くなっていく。
子供が怪我をして責任問題になっては困るという理由で、公園から遊具を撤去する行政では、いつまでたっても本当の意味でオトナは育たないだろう。
 
あとで幼なじみのM君にこの寺の話しをしたら、なんと彼の奥さんが住職の娘さんと同級生だった。
 
奥さんも
「あのお父さん(住職)は昔からそういう人なんです」って。
 
杉並区の保育園に通うYさんの4歳の娘は、園庭で遊ぶ子供の声がうるさいと近隣からの苦情で庭が使えなくなり、ストレスで円形脱毛症になった(まだ4歳なのに)。
 
庭で遊べないためうつ病になった子もいるというが、行政は打つ手がないらしい。
杉並に限らず都内全般で保育園の建設中止が相次ぎ、待機児童の増加が止まらない。
 
将来あんたらの年金を払うのはこの子たちなのに、そんなこともわからないのか
 
なんでもありそうな東京だが、本当に必要なものは手に入らないのかもしれないと、山に囲まれた自然のなかで、子供たちがのびのびと遊ぶ姿を見ていて思った。