老朽化したアパートを売却するか建て替えるか、大家さんから相談があった。
今はプチバブルなので高値で売れるだろうが、親の代から持っているので税金もかなり払わなければならない。
ここには大学があるので学生がたくさん住んでいるが、それを目当てにしたアパートも多く、古いものは安くしないと決まらない「供給過多」状態だが、それでもアパート業者が地主を口説いて、さらにアパートを建てさせている。
大学なんていつ郊外に移転するかもしれないし、少子化の影響は大学にも出ているので、またアパートを建てても安定した収入を得られる保証はない。
「障害者」と入力したくても、今は「障碍者」と自動変換されるらしい。
「害」という字が「障害を持つ人が周囲に害を及ぼしている」と、思われることを差別ととらえる風潮が原因らしい。
そういえば最近の運動会では、「障害物競走」といわず「サバイバルレース」、「興味走」などというらしいが(きょ、きょうみそうってナニ?.....)、知人の障害者に言わせれば、
「どっちにしてもカラダに障害はあるんだから、障害者でいいよ」って....
「看護婦」を「看護師」、スチュワーデスを「客室乗務員」とか、旧き良き昭和に生まれた世代には、なかなかなじめないものも多い。
「乞食」もNGワードらしいが、「ホームレス」でも働いて自立している人もいるので、定義があいまいだ。
私が育った長野では子供のころ、家にボロボロの恰好をした乞食が、「おもらい」に来た。
フーテンの寅さんみたいなカッコしたおじさんが
「昨日、刑務所をでてきた」
と言って家にきて、ヒゲソリやパンツのゴムを法外な価格で押し売りしていた。
それでも祖母は
「あんたもたいへんだったねぇ」
と乞食も押し売りも家にあげてお茶を出し、身の上話を聞いてあげていた。
「これでおいしいもんでもお食べなさい」
と500円札をあげると、彼らが涙を流していいたのを子供ごころに覚えている。
テレビの「素晴らしき世界旅行」で、アフリカ特集を見ていた祖母が、
「このどじん(土人)、ほんとにまっくろだねぇ」
ってしみじみ言っていた。
(ボボ・ブラジルなんてレスラー名も、今は放送禁止らしい)
98年パリダカにシューセイさんのお供で行ったときのこと。
まわりは見渡すかぎり全員黒人で、それもかなり色が黒い。
30数年生きて来て、こんなに大勢の黒人に囲まれたことが無く、しかもこちらは足を折った松葉づえで逃げられない(そういえば「びっこ」や「ちんば」も差別用語か)。
なにもされるわけではないのに、何百という目で見つめられているような気がして、本当に恐怖を感じた。
今もたまに夜の六本木に行くと、街のあちこちにアフリカ系の黒人が客引きで立っていて、真っ暗ななかに目と歯だけ白く輝くと、あの時の恐怖がよみがえる。
脱線したがグループホームの話し。
今年できたばかりなのでとにかくきれい。
自宅で親が面倒を見るのが大変な、同区内に住む20~30代の若い知的障がい者が住んでいて、週末は実家に帰る
なんて勝手に想像していたが、ここの住人の平均年齢は50歳で、最年長は75歳。
すでに両親が他界している人も数人いて、ずっとここに住むという。
この福祉法人は同区ですでに10軒以上を運営していて、経営基盤も盤石。
なのでここは区の補助は受けず、自己資金と銀行借り入れで運営しているとか。
この施設がある区は都内でも、保育園建設に反対派が多いことで有名。
今回相談されたアパートも同じ区内なので、障害者施設や保育所建設に近隣住民の反対はないのか、福祉法人の理事長に聞いてみた。
テレビで建設を反対された施設のほとんどが、事前に十分な住民との説明会をやっていないという。
この法人は何度も区の担当者と地域説明会を開き、運営している施設を見てもらうことで、今まで一件の反対も無かったという。
1階の保育所も見せてもらった。
0歳から2歳まで12人の乳幼児を預かっていて、みんな本当にかわいい。
待機児童問題は深刻だが、それよりも保育士さんが足らず、区の依頼で建築予定の数件の保育所建設が、保育士不足で止まっているとか。
そして障害者施設の不足は、待機児童よりさらに深刻だ。
保育園に入れなくても無認可や民間の託児所なら入れるが、障害者はそうはいかない。
なので理事長は
「木造の施設が倒壊すると、そこに住んでいた障がい者は避難所に入れないので、ウチは鉄骨以上でないと運営しないことにしています」
「建物が壊れなければ万が一のとき、ここが避難所になります」とも。
待機児童は都内で数万人というが、障害者もおなじくらいいるらしい。
子供はいずれ大きくなって自分で何でもできるようになるが、障害者は歳をとればさらに自立が困難になる。
施設をあとにして帰り道
大家さんも
と気持ちが固まったらしい。
私もあと6年後の60歳になったら、自宅を託児所に解放しようかと思っていたが、
理事長から
「そのころは今より保育士が足りなくなっているかも」
と言われた。
「なのでウチは他より賃金をアップして、休みや福利厚生の待遇もよくしているので、なんとか保育士が集まるんです」
とのこと。
「親は無くても子は育つ」
なんてのが通じない今の世の中。
アメリカは数十年後には移民や有色人種が増加して、白人が少数派になるらしい。
日本も周りを見渡せば結婚していない男女のなんと多いことか。
「出会う機会がない」
なんて、街を歩けば異性がそこらじゅうにいるのに、なにを言っているのか意味が分からない。
「オレ(アタシ)なんてどうせ断られるし」
なんてやる前から自分に負けていて、どうするんだと言いたい
(そこのアンタのことだよ)
「カネが無いから結婚できない」
とか
「給料が安いから子供を作れない」
なんて言っていたら、そのうち日本にも移民が大量流入して、仕事も奪われ異性も取られ、ますます結婚できない男女が増えて、日本人が少数派になる日がくるかもしれない(「彼ら」はどんなに貧しくてもどんどん子供を作るので)