R1250GS カフェしなの

R1250GS、事故で廃車から買い替えました

待機児童問題よりさらに深刻なこと

老朽化したアパートを売却するか建て替えるか、大家さんから相談があった。
今はプチバブルなので高値で売れるだろうが、親の代から持っているので税金もかなり払わなければならない。
ここには大学があるので学生がたくさん住んでいるが、それを目当てにしたアパートも多く、古いものは安くしないと決まらない「供給過多」状態だが、それでもアパート業者が地主を口説いて、さらにアパートを建てさせている。
大学なんていつ郊外に移転するかもしれないし、少子化の影響は大学にも出ているので、またアパートを建てても安定した収入を得られる保証はない。

若者が減るこれからの不動産経営のトレンドは、「高齢者と障害者」らしいので、ハウスメーカーの紹介で「障碍者向けグループホーム」を見に行った。

「障害者」と入力したくても、今は「障碍者」と自動変換されるらしい。
「害」という字が「障害を持つ人が周囲に害を及ぼしている」と、思われることを差別ととらえる風潮が原因らしい。

そういえば最近の運動会では、「障害物競走」といわず「サバイバルレース」、「興味走」などというらしいが(きょ、きょうみそうってナニ?.....)、知人の障害者に言わせれば、
「どっちにしてもカラダに障害はあるんだから、障害者でいいよ」って....

「看護婦」を「看護師」、スチュワーデスを「客室乗務員」とか、旧き良き昭和に生まれた世代には、なかなかなじめないものも多い。

「乞食」もNGワードらしいが、「ホームレス」でも働いて自立している人もいるので、定義があいまいだ。

私が育った長野では子供のころ、家にボロボロの恰好をした乞食が、「おもらい」に来た。
フーテンの寅さんみたいなカッコしたおじさんが
「昨日、刑務所をでてきた」
と言って家にきて、ヒゲソリやパンツのゴムを法外な価格で押し売りしていた。

それでも祖母は
「あんたもたいへんだったねぇ」
と乞食も押し売りも家にあげてお茶を出し、身の上話を聞いてあげていた。
「これでおいしいもんでもお食べなさい」
と500円札をあげると、彼らが涙を流していいたのを子供ごころに覚えている。

テレビの「素晴らしき世界旅行」で、アフリカ特集を見ていた祖母が、
「このどじん(土人)、ほんとにまっくろだねぇ」
ってしみじみ言っていた。

今は「黒人」でさえ差別用語らしいが、当時はテレビも土人と言って、おおらかな時代だった。
ボボ・ブラジルなんてレスラー名も、今は放送禁止らしい)

98年パリダカにシューセイさんのお供で行ったときのこと。
ラリーが終わりパリ行きのチャーター機に乗るために、セネガル空港ロビーで待っていた。
まわりは見渡すかぎり全員黒人で、それもかなり色が黒い。
30数年生きて来て、こんなに大勢の黒人に囲まれたことが無く、しかもこちらは足を折った松葉づえで逃げられない(そういえば「びっこ」や「ちんば」も差別用語か)。

なにもされるわけではないのに、何百という目で見つめられているような気がして、本当に恐怖を感じた。

今もたまに夜の六本木に行くと、街のあちこちにアフリカ系の黒人が客引きで立っていて、真っ暗ななかに目と歯だけ白く輝くと、あの時の恐怖がよみがえる。

脱線したがグループホームの話し。
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ここは鉄骨3階建てで、1階が少人数の保育所、2,3階が障がい者グループホームというか「寮」で、12人の知的障がい者が暮らしているという。

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今年できたばかりなのでとにかくきれい。
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自宅で親が面倒を見るのが大変な、同区内に住む20~30代の若い知的障がい者が住んでいて、週末は実家に帰る

なんて勝手に想像していたが、ここの住人の平均年齢は50歳で、最年長は75歳。
でに両親が他界している人も数人いて、ずっとここに住むという。

運営している福祉法人にはかなり高額な区の補助金が出るらしいが、補助金に頼ってしまうと重度の障害を持つ人ばかり区から押しつけられて、経営がなりたたないらしい。
この福祉法人は同区ですでに10軒以上を運営していて、経営基盤も盤石。
なのでここは区の補助は受けず、自己資金と銀行借り入れで運営しているとか。

この施設がある区は都内でも、保育園建設に反対派が多いことで有名。
今回相談されたアパートも同じ区内なので、障害者施設や保育所建設に近隣住民の反対はないのか、福祉法人の理事長に聞いてみた。

テレビで建設を反対された施設のほとんどが、事前に十分な住民との説明会をやっていないという。
この法人は何度も区の担当者と地域説明会を開き、運営している施設を見てもらうことで、今まで一件の反対も無かったという。

1階の保育所も見せてもらった。
0歳から2歳まで12人の乳幼児を預かっていて、みんな本当にかわいい。

待機児童問題は深刻だが、それよりも保育士さんが足らず、区の依頼で建築予定の数件の保育所建設が、保育士不足で止まっているとか。

そして障害者施設の不足は、待機児童よりさらに深刻だ。
保育園に入れなくても無認可や民間の託児所なら入れるが、障害者はそうはいかない。
熊本地震東日本大震災でも問題になったが、万が一のとき障がい者はトイレに時間がかかったり、日常生活に支障が多いので避難所にいられないのが実状という。

なので理事長は
「木造の施設が倒壊すると、そこに住んでいた障がい者は避難所に入れないので、ウチは鉄骨以上でないと運営しないことにしています」
「建物が壊れなければ万が一のとき、ここが避難所になります」とも。

待機児童は都内で数万人というが、障害者もおなじくらいいるらしい。
子供はいずれ大きくなって自分で何でもできるようになるが、障害者は歳をとればさらに自立が困難になる。

施設をあとにして帰り道
大家さんも
「ここにお願いして1階を保育所、2、3階をグループホームにしよう」
と気持ちが固まったらしい。

私もあと6年後の60歳になったら、自宅を託児所に解放しようかと思っていたが、
理事長から
「そのころは今より保育士が足りなくなっているかも」
と言われた。
「なのでウチは他より賃金をアップして、休みや福利厚生の待遇もよくしているので、なんとか保育士が集まるんです」
とのこと。

「親は無くても子は育つ」
なんてのが通じない今の世の中。

アメリカは数十年後には移民や有色人種が増加して、白人が少数派になるらしい。

日本も周りを見渡せば結婚していない男女のなんと多いことか。
「出会う機会がない」
なんて、街を歩けば異性がそこらじゅうにいるのに、なにを言っているのか意味が分からない。
「オレ(アタシ)なんてどうせ断られるし」
なんてやる前から自分に負けていて、どうするんだと言いたい
(そこのアンタのことだよ)

「カネが無いから結婚できない」
とか
「給料が安いから子供を作れない」
なんて言っていたら、そのうち日本にも移民が大量流入して、仕事も奪われ異性も取られ、ますます結婚できない男女が増えて、日本人が少数派になる日がくるかもしれない(「彼ら」はどんなに貧しくてもどんどん子供を作るので)

少子化や待機児童、障害者問題も含めて、国や自治体、地域ぐるみで協力してやっていかないと、本当に数十年後は日本が日本でなくなってしまうかもしれないと、アフリカで見た貧困を思い出しながら感じた。