6日(日)のお山デビューに続いて、13日(日)も行く予定だったが、雨の予報で断念。
モンキーIさんから
「(16日)水曜どうでしょう?」
と言われたので
「行きます!」
と即答。
Iさんは朝の渋滞前の7時には高速に乗りたいそうだが、平日は8時に娘を小学校へ送り出すのが私のデューティー。
なので自転車はIさんに現地まで運んでもらい、娘を送り出してから8時半にアドベンチャーで出発した。
首都高も高速もガラガラ、
高速を降りてからベースまで10キロの田舎道もガラガラだが、
「たまにネズミやってます」
とIさんから聞いていたので、制限速度40キロ、ガラガラの直線道路なのに、アクセルを開けたい気持ちを必死で抑えて疲れた。

ちょうど10時に到着。
往復200kmはプチツーリングにちょうどいい。
クルマは2台停まっているが誰もいない。
建物の裏口に回るとドアに張り紙が。
「MTB日和の撮影で山へ行ってます。10時に帰ります」
とIさんのメッセージが貼られていた。
軽のバンはIさんの古い友人で、西多摩でMTBショップ「ナカザワジム」をやっているナカザワさんらしい。
MTB日和のなかでナカザワサンとIさんの対談コーナーがあり、日曜に対談しながら走る予定が雨で今日にずれ込んだらしい。

しばらく待っているとレガシーがやってきた。
今日ご一緒するSさんと初顔合わせ。
Sさん60歳、Iさん61歳、私56歳で、三人合わせると「ほぼ180歳!」
バイク業界だけでなく自転車も高齢化の波は、モロにかぶっているようだ。
このあとの山登り中、
私がバイク乗りなのを知ったSさんが、ずーっと「今年のモトGPがね~」と話しながら登っていた。
いちおう相槌を打ちながら走っていたが、実は私、モトGPってほとんど知らない。
ロッシとか有名らしいが、サーキットぐるぐる回ってるのを見ても、すぐ飽きてしまうので。
F1もむかしは暴れるマシンを「力づくで」押さえこむために、ドライバーの技量で勝負が決まったが、コンピュータに頼り切った今どきのレースは、見ていてつまらない。
家の中で留守番していたロビンも、今日は一緒に走る。

11時過ぎにIさん一行が帰って来た。
「10時に帰る予定が{興が乗って}、もうひと山走ってしまった」そう。
初めてお会いするナカザワサンは、お世辞にもスマートと言えない立派なおなかの持ち主。
50歳にして6歳、小学校1年生の娘さんがいるとおっしゃるので、
「56歳だけど8歳の娘がいます」と言ったら、大ウケだった。
PTA会長をやられているそうで、
「子供たち全員にMTBを乗せるのが目的です!」とキッパリ。
聞くと「西多摩MTB友の会」や地元のボランティアなど、MTBと社会をつなぐ運動を幅広くやられているらしい。
私なんぞはPTAの仕事で貴重な時間を邪魔されたくないので(PTA不要論者なので)、どんなに推薦されても拒否しているが、ナカザワサンの
「MTBを広めたい」
という熱意には感心させられる。
今日はこれからお店なので、帰らなければならないらしい。
奥さんには「12時に帰る」と言って来たそうだが、この時点で11時半.....。
「開店は1時、また怒られちゃうなぁ」
と笑っていた(きっといい奥さんなんだろうナ)
MTB日和のライターの方もMTBで参加されていた(お名前聞き忘れませした)。
私のアドベをしげしげと眺めている。
もともとは八重洲出版系出身らしく
「ずっとSL230乗ってました」とか。
Iさんも
「MTBはバイクから来た人多いですよ」って。
再会を誓ってお二人とお別れ。
「こんないい人たちが絡んでいるなら、買わなければ!」
と帰宅してMTB日和を買ってきた(ついでにパーツカタログも)


表紙が女の子だし、中身は最新型MTBの紹介ばかり。
なので1冊買っただけで買うのをやめてしまったが、MTB専門誌はこの1誌しかないので、だれかが買わないと無くなってしまう。


都内ではまずお目に掛かれないモンキーが、また4台も
(ナカザワサンの軽にも1台あったので、計5台!)
今日はファットタイヤを履かせたモンキーで、ナカザワサンとIさんは走ったらしい。

そして昼前、IさんSさんと出発。
ロビンは路面が熱いのでIさんがひざに抱いて、かなり不自然な中腰の体勢で坂を登っていく。
61歳で朝から「「ふた山」走る体力に脱帽。

前回、ケモノミチの登りがうまく走れなかった話をすると、Iさんから
「ここの段差(1mくらい)でも練習できますヨ」
と、プチ練が始まった。
漕ぎながら段差を超える練習と、助走で漕いで惰性で段差を超え、自転車を前に「送り出す」練習などなど。
オートバイは両足を置くステップが「一直線」なので、重心が分かりやすいが、自転車はペダルが前後になるので、重心がイマイチわからない。
それでも抜重や荷重、「ふところで」自転車を前に送り出すなど、小さなセクションにもいろいろな可能性が詰まっていることを、感じることができた(気がする)
本当はもっともっとハアハアゼイゼイしながら、お山を登りたい。
どうも2月のラリークランキングで、感覚がおかしくなってしまったらしい。
いくら散歩してもあり余る体力で飼い主を困らせる、ジャックラッセルテリアのロビンと同じで、モンキーIさんも私の扱いに困っていたようだ(スミマセン.....)
そしてここから前回とは違うケモノミチの登り。
ギアを軽くし過ぎるとフロントが浮いてしまい、バランスを崩す。
一度足を着くと再スタートできないので、仕方なく押して登る。
後ろからフツーにペダルを漕ぎながらIさんが
「朝はナカジマサンと3人で、ここも漕ぎ上がったヨ」
と聞いて、バイクと同じで自転車もおデブは関係ないことを知った(太いファットタイヤで登りきってしまうことに驚き)
「今はあんなに太っちゃったけど、20年以上前は痩せていたんだよ」
とも。
私のように「力ずくで」ガシガシ漕ぐより、ギアと傾斜に合わせて漕ぐほうがあっさり走れることは、Iさんのぺダリングを見れば一目瞭然。
「近くにケモノミチが無ければ、多摩川の土手を上り下りすればいい」
というアドバイスもいただいた。
これは先週土曜日にやってみた。
高さ5mくらいの土手は直登したくても、刈ったばかりの草が残っていてタイヤが空回り。
フロントがすぐ浮き上がってしまい、何度やっても登れない。
250ccなどの非力なバイクは、高い砂丘を登るとき斜めに登る。
思い出してやってみたら、ヨロヨロしながらもなんとか登れた。
少しずつ登る角度を直角にしてみると、直登は無理だが「背骨を立てたまま腰を曲げて」ハンドルを押さえると、フロントが浮かずに登れることに気が付いた。
他にも前輪をかべに(基本を覚えるなら山に行かなくても、自転車は家の近所でもできるのがありがたい)
そしてここから下り。
たくさんのMTBが走ったのだろう、山肌が削られてコークスクリューのように「バンク」(MTBは「バーム)というらしい)ができた、シングルトラックのケモノミチを走る、というか落ちていく。

これがバーム(ってもちろんワタシじゃありません)
路面が締まっていて走りやすく、ついオーバースピードに。
そのままバームに突っ込んでは曲がりきれず、何度もコースアウトそうになる.....

そしてここからが今日一番の激下り
「ちょっと岩や木の根っこがあるので、無理せず下りましょう」
と言われて右コーナーを曲がると
トライアルバイクでも思わずビビるような、岩盤と木の根がむき出しの激坂が待っていた。
足を出したくてもビンディングペダルなので外れない。
「前転したらどうしよう?!」
なんて恐怖心がアタマをよぎるが、ここでやめるわけにはいかない。
意を決してブレーキをかけながらソロソロと下っていく。
そのあとも大きな根っこや岩盤のキャンバーなどなど、スリル満点の激下りが続き、息つくヒマが無い。
前回初めてのときはビビるあまりブレーキかけっぱなし。
でもここを雨のなか走る気にはなれないなぁ。
Iさんが
「雨だからやめましょう」
と言ってくれたのが身に染みてわかる。

やっと広いところに出て休憩。
ロビンもしっかり「自走」で付いてきた。

エンジン付きオフロードバイクの破壊力に比べれば、人力のMTBなど大したことないだろうと思ったが、林道は崩れ木は根っこが踏まれ続けて枯れてしまうほど、深刻な事態だという。
2時間ほどだがかなり「濃厚な」お山ライドを終え、里に下りて遅い昼食をとる。
この日もMTBショップの1ボックスカーがお客さんを乗せて、山頂に運んでいた。
Iさん曰く
「あれじゃマウンテンバイカーじゃなく{ダウンヒラー}だなぁ」って。
夏のあいだスキー場もMTBコースになるらしい。
ゲレンデをMTBで登れるのか聞くと、リフトで登るとか。
スキー場もリフト券の売り上げが頼りなので、自走はNG。
これも下りだけやりたがる「ダウンヒラー」増殖の一因らしい。
ヒーヒー言って登ったあとの「ごほうび」として、下りがあると思うのだが、
そしてベースに戻り着替えて4時半。
6時に娘が学校から帰ってくるので、急いで帰らなければ。
帰りの首都高は事故で大渋滞だったが、「無理のないすり抜け」でなんとか5時55分に到着できた。
そして金曜日、モンキーへ自転車を引き取りに行った帰り、恵比寿を通ると

レンジャーが帰ってきていた。
これは今年リタイアしたじ~じ号
しっかり整備されて7月のシルクウェイに向けて準備中。
モンキーのオリジナルMTBも、Iさんが長年の試行錯誤の末に生み出した、唯一無二の存在。
そしてこのレンジャーもノーマルパーツはキャビン(顔)だけの、ほぼオリジナル。
2階の事務所ではテルちゃんが、これも毎年恒例の配線と格闘中。
2019年ダカールに参戦するテルヒト号は、「まっさらな」新車。
なので2000か所のパイプの穴あけから始まり(!)、シルクウェイの前にある6月の発表会まで、あと1か月足らずでまるっきり新しいレンジャーを、「一台」作り上げなければならない。
スーさんらメカさんたちは静岡の工場に連日泊まり込み、モンゴルからバイラーさんもヘルプで来日中とか。

プロのラリーストでありながら、社長の仕事もこなし、自分のマシンの配線も作業もすべて自分でやる。
こんな当たり前のことが「最強のプライベーターチーム」と言われる由縁だろう。

こんなこと毎日やっていたら、夢に出てきそうだが.....
国内にマウンテンバイクのカスタムショップは星の数ほどあるが、オリジナルフレームを作っているショップはほとんどない。
「モンキーなんて20年前設計のクロモリで、時代遅れじゃん」
そんな陰口をたたく人が多いらしいが、最高のパーツで組めば最高のものができるに決まっている。
「寄せ集めで作るんじゃなくて、イチから自分で作ってみろ」
Iさんはそう言いたいに違いない。
じ~じとタチバナさんがいつも言う。
「手が油で汚れていないヤツは信用しない」
机にすわってパソコン叩いてるだけの、「自称エンジニア」はいらない。
「技術屋は油にまみれて仕事してナンボ」が信条のお二人に、もうひとり根っからの職人が加わった。
モンキーIさんもじ~じも、「自分が納得のいくマシン」を作ることだけに、情熱を注いできた。
私にとってこのお二人は唯一無二、孤高のプライベーターなのだ。