R1250GS カフェしなの

R1250GS、事故で廃車から買い替えました

超ブラック企業

20代のころ、1年だけ働いた都内某所の不動産会社
30年近くたった今も、不定期に開催されるOB会に、なぜか呼ばれる。
 
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先日あったOB会
 
この日集まった全員が、それぞれ不動産業で独立している「シャチョーさん」だが、
みなさんこの会社で10や20の苦労話がある(だからハゲるのかな?)。
 
入社した新人がまずやらされるのが、「泊まり」。
 
自社ビルの2階に当直室があり、毎日、だれかしら社員がひとり、「当番」で泊まる。
 
入社したその日がいきなり泊まりだった私。
先輩から「夜中によその{組}が来ても、絶対入れるな」って
 
く、組って.....(ここ不動産会社デスヨネ?......)
 
夜10時過ぎに社員が帰ったあと、近所の中華屋から出前を取り、遅い夕食を食べていると電話が。
 
出ると
「オレだけど歌舞伎町の○○に迎えに来い」って
 
「どちらさまですか?」と聞くと
 
「バカヤロー!お前こそ誰だ!!」と怒鳴られた。
 
「今日から入った○○です」と答えると、
 
「オレは○○だ」って.......
 
「○○?......あ!しゃ、社長ですか??!!」
 
どうやら社長が歌舞伎町で飲んでいるので、店まで迎えに来いということらしい。
 
私 「あのう、他の組が襲撃に来るから、絶対に出るなと言われましたが」
 
社長「そんなの来るわけないだろう、寝ぼけたこと言ってないですぐ来い!」って......
 
なんだ、ウソだったのか.......
 
ちょっとがっかりして、クルマで歌舞伎町に向かった。
 
歌舞伎町の風林会館の前につくと、区役所通りは違法駐車だらけで、停めるところがない。
仕方なくひとまわりして戻ると、ちょうど一台分空きスペースが。
 
「ラッキー!」とそこに停めると、すぐカタギぢゃない派手なシャツ着た、おにいさんが飛んできて
「テメー!どこに停めてんだ!!」と怒鳴られた。
 
「どこって道路でしょ」と答えると、
「ここは○○組が停めるって決まってるんだ」とすごまれた。
 
社長からは
「なにがあっても風林会館の前で待ってないと、おまえクビだぞ」と言われている。
 
「私もここから動くとクビになるので、動くわけにいかない」とお返事。
 
「どけ」、「どかない」で取っ組み合いになり揉めているところへ、社長登場。
 
ニヤニヤ笑いながら 
「おまえら、なにやってんだ」って。
 
飲んでいた店の店長と、ドレスを着たホステス10人くらいが、社長の見送りについてきていた。
その店長が私と言い合っていた相手に、なにやら耳打ち。
 
今まですごんでいた男が驚いたように私と社長を見て、
「次は気をつけろよ」と捨てゼリフを残して、去って行った。
 
「何者だ、この社長は?」と思ったが、
「帰るぞ」と言われ、社長を自宅へ送り届けた。
 
翌日、おそるおそる上司に
「あの~社長ってカタギなんですか?」と聞くと
「当たり前だろ」との答え。
 
昨日のいきさつを話すと、
「オレもむかし社長に連れられて、歌舞伎町へ飲みに行ったとき、社長のお気に入りの女の子が、ほかの客に呼ばれてなかなか戻ってこなかったら、怒った社長がその客のテーブルめがけて、ビール瓶を投げたんだよ」って。
 
「{オレは帰るからあとはよろしく}って社長だけ帰ってしまい、客のヤクザにボコボコに殴られながら、ひたすら土下座して謝ったよ」って。
 
(どこがカタギなんだ??)
 
「泊まり」は新人がやらされる、「社用」のひとつに過ぎない。
 
社用とは社長の奥さんや子供が、病院や買い物へ行くとき運転手をしたり、金魚のえさを買いに行ったりと、要は「雑用係」
 
生まれて初めてロールスの運転手をしたとき
まずは助手席うしろのテーブルに水を入れたコップを置いて、走ってもこぼさない練習をさせられる。
ロールス独特のブレーキが一瞬遅れて効くのに馴れず、水をこぼしてしまうと、後ろに座っている社長秘書Aさんの、キックや拳固が飛んでくる,,,,,,。
 
あるとき社長のゴルフの運転手をしたときのこと。
社長がゴルフをしているあいだ、秘書のAさんとレストランで待っていた。
Aさんが
「おい、風呂を見てこい」と言うので、見に行った。
「だれもいません」と答えると
「よしいこう」とAさん
 
脱衣所で服を脱いだAさんの背中では、きれいな鯉が滝を登っていた.........
 
翌日ゴルフ場から電話が。
 
「きのう浴室で当ゴルフ場にふさわしくないお客様がいらしたようですが、なにかご迷惑はありませんでしたか?」と支配人。
 
Aさん「そうか、それは大変だったナ」って(犯人はアンタだろ)
 
この日の飲み会でもこの話題が。
 
上司だったBさんは大学を出て、親の紹介でこの会社に入った。
 
あるとき連れて行かれた高田馬場のサウナで、このAさんと営業のCさん二人のタトゥーコンビが、そこに集まっていた本物のタトウーの人たちと、親しげに話しているのを見て、
「おやじはおれになにをさせたいんだ」と、真剣に悩んだという。
 
入社して数年が過ぎたころ、大学の同窓会で
「オレは会社で○○を任されてがんばってる」とか
「オレは希望していた○○の部署にやっと移動できた」と同級生たちが話すなか、
 
{オレは社用で金魚のエサを買いに行ったり、やくざ相手に土下座したり、こんなことしてていいのか}と焦ったという。
 
そんなBさんも今では立派な社長。
「仕事なんていつでも覚えられるけど、あのときの{貴重な経験}が役に立った」って。
 
こんな話が山のようにあるこの会社は、今も現存する。
 
任侠映画に出てくるような、シカの首や虎のはく製が飾ってある、社長室の大型金庫の中には、今でも何十億の現ナマがうなっているという......。
 
今はやりのブラック企業とはちょっと違うかもしれないが、
こちらはある意味、本物の「超ブラック企業
 
なのでサービス残業長時間労働が問題と騒いでいる、ブラック企業のニュースを見ても、「それがどうした」と思ってしまう。
 
今でも新聞広告で社員募集しているこの会社。
(経験年齢不問、3か月研修中は給料35万円)
 
最短記録は朝出社して、クルマの洗車の仕方が悪いと怒鳴られて、そのまま辞めてしまった。
 
ここで1年我慢したら、個性的で立派なオトナになれると思うのだが...
 
................やっぱりなれないか。