R1250GS カフェしなの

R1250GS、事故で廃車から買い替えました

CLOSER TO THE EDGE

マン島のTTレースで、松下ヨシナリ選手が亡くなった。
私は面識がないが、知人には彼と親交の深かった人も、大勢いたようだ。
 
私がマン島のレースを知ったのは、高校生のとき読んだ大藪晴彦氏の「汚れた英雄」。
今でも実家の本棚には、何度も読み返し手垢で汚れた文庫本が残っている。
 
主人公の北野晶夫がMVアグスタだったかモリーニだったかで、挑戦したのがマン島TTレース
「火の玉男」タルキオ・プロビーニ、ルイジ・タベリ、マイク・ヘイルウッドやジョンサーティース、高橋国光氏や生沢徹氏など、バイクに目覚めたばかりの田舎の高校生は、夢中で読んだのを思い出す。
 
マン島レースってナニ?という人は、こちら
 
ネットで事故の状況を探していて、フリーライドマガジンの三上さんが、取材で現地にいたのを知った。
サーキットのようなスポンジバリアが無く、公道レースゆえサーキットには無いジャンピングスポットは、猛スピードで転倒すると石垣に叩きつけられるのは、昔も今も一緒。
どんなに鍛えても人間のカラダは鋼(ハガネ)にはなれないし、柔らかい肉や骨はアスファルトや石垣が相手では、無力に等しい。
バイクの性能が格段にアップし、時速300km/hを超えるバトルの危険度は、昔以上だろう。
 
そんなレースを無謀というか、挑戦するライダーをキチガイというか。
白状すれば私も氏の挑戦を、「危ないのにまた行くのか」と、冷めた目で見ていた一人である。
 
三上さんのブログには、バイクに乗る人までが松下選手の死亡について、「無謀な挑戦」と非難していることを、静かに意見されている(三上さん転載をお許しください)
 
新聞やメディアも今回の事故の記事は、ほんの少ししか取り上げられず、
あいかわらず巨人が勝った負けたと騒いでいる。
 
松下氏に続く日本人は必ず現れるだろうが、世界一バイクを作って売っている国として、
メーカーもメディアももっとアピールできないものか(ってできないんだろうナ.......)
 
そんななか来年のダカールに、シリル・デプレがヤマハフランスから参戦というニュースが。
ジャーナリストM井さんのフェイスブックにアップされていた(M井さん転載すみません)
 
この動画、分かる人には涙チョチョ切れるくらいうれしい。
 
でも日本のヤマハじゃないんだ.....
ヤマハもホンダもだれか日本人選手がライドして、ダカールで優勝して欲しいが、
私も昔メーカーにいたとき、「社員がレースして事故したらマズイ」と言われるほど、
なんともお寒いお国柄では100年経っても無理だろう。
 
称賛に値すべきは強者の失敗を指摘する評論家でなく、実際に行動した人物であり、
その顔を汗と血でまみれさせた者だ
失敗に終わろうとも挑戦を遂げた人物だ
そして彼の立つ場所は、勝利も敗北も知らない臆病者たちとは、一線を画しているのだ
 
松下選手、もっと走りたかっただろうな。
でも死んでしまっては、遺された人が可哀想すぎる。
 
貴方の挑戦を讃えるとともに、ご冥福をお祈りいたします