結果はすでに報道されているので、ここでは私の感じたことを。
二輪は「いい人」、KTMの丸く駒、もといマルク・コマが、下馬評どおり優勝した。
トラブル続きのホンダは2位に食い込み、来年に期待をつないだ模様。
ホンダもKTMもマシンやライダーの差は、きっともう無いんだろう。
それでもKTMが強いのは、ホンダがパリダカ撤退後もずっとレースを続けていた、「経験の差」が大きいんじゃないか(あくまで個人の見解です)。
F1のフェラーリと同じく、「レースがマシン開発の場」と考えるメーカーと、レースを販売のための宣伝と考えるメーカーには、埋めがたい差があるはず。
それでもメーカーがレース参戦するには、莫大な予算がかかる。
KTMやフェラーリのように、一部マニアのためのクルマやバイクを作るのと違い、ホンダならカブからF1まで、トヨタなら軽からF1までやらなければならないメーカーとでは、つぎ込める予算にも限界があるし、結果が出なくなれば撤退もやむを得ない。
それでも世界に名だたる自動車立国だし、昔の若者はそれを見てクルマやバイクに熱中した。
三菱や日産、ヤマハやスズキ、スバルなんかも一度チャレンジしてほしい。
たとえ宣伝でもいいのでメーカーには、レースを続ける責任があるのではないか(個人の見解です)。
スウエーデンのベルグランド兄弟は、3人とも完走した。
長男ミカエルが私と同じ53歳で67位、
次男アンダースは50歳で74位、
他の二人がKTMで参加のところを、彼だけはフサベルでスウエーデン人のこだわりを見せたか。
三男トーマス45歳が23位と大健闘。
日本と同じくスウエーデンからも南米ははるか彼方で、参加するのも大変。
このおやじたちのチャレンジに拍手を送りたい。
2月にミッケがまた仕事で来日するという。
彼らはミッケの友人なので、私もスウエーデン4デイズに参加したとき、彼らと走っているらしい(毎日いっぱいいっぱいで、そんな余裕はなかった)
ミッケにまた逢えたら彼らに乾杯して、盛り上がりたい。
四輪はまたミニが優勝。
リザルトを見ても本当にミニが多いが、10年前、だれが砂漠を走るミニを予想しただろうか。
あいかわらずミニのディーラーは、ダカールの「ダ」の字もないのか
と思ってホームページを見たがやっぱり載っていない。
念のため最新ニュースを見たら、なんとダカール特集が組まれていた。
でもやっぱり「都会的でオサレなクルマ」として、売りたいんだろうなぁ(モッタイナイ)。
もっと「レッドブルコラボモデル」とか「ミニ・エボリューション」とか売りに出したら、けっこう売れると思うのだが。
(私もプジョーがワンツーフィニッシュする姿を、ひそかに思い描いていたひとり)
目下パリ中の不動産を買い占めているという、中東の金持ち国カタール。
カタール人のアルアティアが優勝しても、フランス人はきっとうれしくないんだろうナ。
大好きな「ミスター・バハ」・ロビー・ゴードン&ジョニー・キャンベル組は19位。
来年こそ(優勝しなくてもいいから)派手なパフォーマンスで、優勝争いに絡んで欲しい。
それにしてもずっと彼をサポートしている、「トーヨータイヤ」は立派のひとこと。
日本では宣伝力でブリジストンや他のメーカーに差をつけられているが、こういうメーカーがもっと売れてほしい。
チームスガワラはテルちゃんが、10L未満クラス6連覇の偉業を達成。
もう「スガワラJr」ではなく、立派なダカールドライバーだろう。
じ~じもがんばってクラスワンツーフィニッシュ。
ジャンプの葛西選手もレジェンドだが、このダカールラリー最高齢のおじいちゃんこそ、本当のレジェンドだろう。
勝つのが当たり前と思われているゆえのプレッシャーも相当なはず。
真夏の暑さや高山病にも苦労したはずだが、若林ナビの「女子力パワー」で100馬力アップして(グロンサンも飲んで?)、見事に乗り切った(オジイチャン、アンタハエライ)
ゴールしても「あさチャン」にちょっと取り上げられたくらいで、
解説するわ縦アナウンサーがダカールも知らないのも、時代の流れか。
愛読する産経新聞には一行も掲載されなかった。
アジアカップといいながらほとんどが中東の、満足な練習もできない貧しい国相手に、やっとの思いで勝つサッカーは大々的に取り上げるのに、クルマの輸出が主要産業のはずのこの国は、地球の裏側で命がけでレース(宣伝)してきた人たちに、賞賛の言葉もない........。
ゴールにはスガワラママや家族、孫のK美ちゃんの姿も。
こんなことでもなければなかなか行けない、地球の裏側ブエノスアイレス。
タンゴでも踊って楽しんできてください。
トヨタの三橋選手はこちらも市販車クラス2連覇を達成。
いろいろあってレースは自粛するという三橋君だが、2輪4輪とダカール経験豊かなベテラン。
来年は海外チームから声がかからないものか。
自身もパリダカを走った経験者のインプレは、臨場感が伝わってきた。
(50歳なんてまだ若いし、海外選手はおじいちゃんばかりなので、M井さんならもう一回、行けるんじゃないかナ?)
M井さんもビバークでこの光景を見て、「じーんときた」そう。
真っ暗な闇のなかを1キロ以上、眼下に見えるビバークに向かう激坂下りは、空から落ちていくような錯覚を、覚えるんじゃないか。
「目の前に突然クレバスでも現れたら.....」
昼間ならロビーゴードンのように、200km/hで駆け降りてこれるところも、外灯もない漆黒の闇のなか、ソロソロと降りるだけでも生きた心地がしないはず。
でもフツーに生きていたら、絶対に味わえない世界。
ある意味うらやましい。
(M井さん、転載をお許しください)
2009年、レースの場がアフリカから南米に移って6年。
南米に移ったことで各メーカーの、車の売れ行きも右肩上がりとか。
そんななかニュースにならないが、今年も「africa eco race2015」が開催されている。
南アフリカ出身のオリオールは、アフリカにも広い人脈を持つという。
彼でなければ政情不安のアフリカで、レースをするのは困難だったはず。
なにより「わが道を行く」フランス人にとって、アフリカは「庭」
テロもエボラも関係ないのだろう。
壮大な「大人の砂遊び」に参加した世界中のみなさん、
社会復帰してもしばらくは、何度洗っても体中の穴という穴から砂が出てきて、しばらくはいやでもダカールの余韻に浸れるはず。
なにはともあれ本当におつかれさまでした。