R1250GS カフェしなの

R1250GS、事故で廃車から買い替えました

キタさんよかったね

先日の連休で帰省したとき、実家のカギを忘れたことに、高速に乗ってから気づいた。
あわてて田舎の姉に電話すると、入院している母親の着替えを取りに、たまたま実家に来ていた。
カギを忘れた旨を話すと、
「じゃあ玄関の{ちりとり}」の下に置いておくよ」って。
 
両親が住んでいたころ、外出するときはたいがいリンゴ箱の下か、ちりとりの下に、カギを隠していた。
「そんなところじゃ泥棒が入るよ」と言うと
「取るものが無いから心配ない」って.....
 
私が夜中に帰省するときも、玄関の扉は施錠せず開けておいてくれた(不用心ダナ)。
 
田舎とはいえ泥棒がいないわけではない。
幼なじみのOは数年前、車上荒らしで捕まったらしい。
前科もなく執行猶予になったようだが、狭い田舎ではすぐうわさが広まり、Oは離婚。家族は離れ離れになり、今は廃品回収の仕事をしているという。
 
それでも私が知る限り、実家や近所の家に泥棒が入ったことはなかった。
 
姉がちりとりの下に置いてくれたカギで、無事、家に入れた。
帰京するとき姉の家にカギを、届けるか郵送すると言うと、
「またちりとりの下に置いてってくれればいいよ」って.....。
 
言われたとおりに置いて帰ったが、東京の家に着いてから念のため、姉に電話をした。
カギの話しをするより早く、姉が
「キタさんの息子さんが天皇賞とったんだって!」と、興奮して話している。
 
「?」
 
キタさんとは父の友人で、実家を建ててくれた工務店の親方。
若いころ馬術の選手で、国体にも出たらしい。
本当は競馬の騎手になりたかったらしいが、家業の工務店を継ぐため断念。
その夢を息子に託し競馬の騎手になるため、馬術部がある新潟の高校に進ませたと、父から聞いたことがある。
 
実家にもよくお茶を飲みに来ていて、息子さんの活躍をうれしそうに話していた。
父親が大病してから毎日のように、実家に来ては両親の世話をしていた姉は、たまたま帰省したキタさんの息子さんにも、会ったことがあるそうだ。
 
私は競馬はおろか競輪も競艇も、「お上が胴元の」ギャンブルは昔からやらないので、天皇賞があったことも知らなかったが、天皇賞で検索したら本当に北村宏司が優勝していた。
 
8月に帰省したとき、2階に上がる階段の吹き抜けの電球が切れていた。
3m以上の高さがあり、実家のはしごでは届かない。
仕方ないのでキタさんに電話して、交換してもらった。
 
 私   「もう息子がたくさん稼いでるんだから、隠居したら?」
 
キタさん「カラダが言うこと聞かなくなってきたので隠居同然だけど、
      まだまだ息子の世話にはならないよ」
と笑っていた。
 
子供のころ山のふもとにある牧場に、父のカブの後ろに乗って行くのが好きだった。
キタさんは休日にここで馬に乗っていて、私が小学生のとき初めて馬に乗ったのも、ここだった。
 
障害物を馬と一緒に、軽やかに乗り越えるキタさんを見たとき、実家で父と酒を飲み、酔っぱらっているおじさんとのギャップに驚いた。
 
この牧場のすぐ下に橋が架かっていて、高い金網がかなり上まで伸びていた。
父曰く
「ここは昔から自殺の名所で、いくら金網を高くしても、みんな乗り越えて飛び降りるんだよ」って......
 
生まれ育ったのがこの近くだった父は、子供のころの夜にこの橋を通ったとき、白い着物を着たきれいな女性に、「おいでおいで」されたらしい。
 
「彼女」は川から数十メートル上の、橋と同じ高さの空中に浮いていた。
子供だった父がふらふらと、橋の欄干に足をかけたとき、通りかかった「馬」に乗った人に止められて助かったと、子供のとき父と橋の下を眺めながら、聞いた記憶がある。
 
数年前、仕事で私の事務所に来た沖縄出身のK君は、無類の競馬好きだった。
高校を卒業して沖縄から上京し、就職したのが日野自動車羽村工場。
 
私の事務所の壁に、ピラミッドをバックにじ~じと写っている写真を見て、
「スガワラさんと知り合いなんですか?!」と興奮して聞いてきた。
 
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これを見て「世界のスガワラ」と見抜くとは、さすが元日野社員
どうみても観光旅行中のおじいちゃんである。
 
左からミサイルファクトリーO川さん、じ~じ、私、今はDOA「ドア・オブ・アドベンチャー」主催者のY原さん 2007年のエジプト観光にて
 
当たり前だが日野の工場でチームスガワラは、最高のヒーローらしい。
 
府中競馬場の近くに住んでいた彼は、順調に競馬に目覚め、以来毎週の府中通いが始まった。
 
転職した後も競馬場に近いという理由で、府中に住んでいるらしい。
 
「実家を建てた知り合いの息子さんが、競馬のジョッキーなんだよね」
と、何気なく話したら、
「だれですか!」とものすごく食いついてきた。
 
「えっ....と、キタさんの名字は....北山じゃなくて北原じゃなくて....」
 
「実家はどちらですか?」
彼が携帯で何か検索している。
 
「ひょっとして北村宏司ですか?!」
 
「あっそうそう、きたむら」
 
「すごいじゃないですか!ボクは彼に何度も助けられたんです」って。
 
彼曰く、武豊のようにメジャーではないが、ここぞというときに勝ってくれるらしい。
 
大井競馬場では馬券を買わなくても、遊園地などで子供が遊べるらしい。
いつも行くしながわ水族館より近いので、子供と自転車で行ってみようと思ったが、毎週レースはやっていないことを、初めて知った。
 
競馬にも中央競馬地方競馬があり、大井では大きなレースはやらないとか。
 
G1というレースがいくつあるのかも知らないが、まだまだ勝って田舎の父親を喜ばせてほしい。
 
キタさん、いい息子に育ってよかったね。