先日の「DOA RALLY CRANKING」でドMヘンタイ菌に感染、
というか山を自転車で走る楽しさに目覚め、毎日ネットでMTB関連の記事を読んでいた。
子供が生まれたとき、
「ラリーなんて危ないことしてちゃいけない」
とKTMを手放し、自転車のロードバイクを買った。
MTBの選択肢もあったはずだが、スキー場のダウンヒルレースを見たとき、目の前で骨折者が続出して、
「MTBもあぶない」
と思いロードを選んだ。
他にダートを走ったドロだらけのバイクを洗うのに、少々ウンザリしていたのも、MTBを選ばなかった理由のひとつ。
今回のDOAも中途半端な辛さだったら、ここまでハマることは無かった。
ただひとり時間内完走で優勝したウエタサンのブログを、主催者のY原さんから紹介されて読んだところ、マップホルダーも無く街乗り用のクロスバイクで参加した自分が、いかに無茶だったか骨の髄まで思い知らされた。
当初ウエタサンは「舗装路が多い」と判断し、直前まで軽量のシクロクロスで参加予定だったが、試走でガレた林道を走ってみて、「サスなしのシクロではきびしい」と判断。
急きょタイヤが太いファットバイクに変更した。
太いタイヤはオートバイのサスの役目をするので、下りのガレ場はいいらしいが、平地と登りは接地面の抵抗が大きいぶん、かなり負荷がかかる。
とくに今回は140kmの行程のうち100kmは登りじゃないのか?というくらい、登っても登っても下りが無かった。
CP2までのガレた上り坂を、Hさんとヒーヒー言いながら登っていたら、前方から「ヒャッホー」みたいな感じで下って来たウエタサン。
オートバイのスタッフも
「下りはバイクでも追いつきませんでした」って。
そんなウエタサンでさえ今回はかなりハードだったらしく、何度も
「完走できないかも?」
と思ったというから、Hさんと二人、ナンチャッテサイクリストが、70km折り返しで玉砕したのも納得できる。
前日の雨でマディになった林道は、いくらペダルを漕いでもタイヤが空転して前に進まない。
希少な下りもサスの無い自転車は、暴れまくってどこへ飛んでいくかわからず、おそろしくてペダルが踏めない.....。
タイヤとフォークのすき間がほとんど無いクロスバイクは、大量のドロが詰まってタイヤが回らず、登らないわ下りは何度も前転しそうになった。
初めてモンゴルのラリーに出たときも
「GPSなんて毎日走れば覚えるさ」
なので年内にもう一度開催するという(ホントか?)第2回に向けて、というより自転車で山を走ることの楽しさを知って、MTBが欲しくなった。
ひと昔前は
「前後サス付きは漕ぐ力がロスする」とか
DOAに参加した人が
「大滝のレースに似ている」
オートバイと違って自転車メーカーは、世界中で数えきれないほどあるらしい。
どこがいいのか分からないので、気になるモデルや分からないことがあると、Y原さんにメールで質問していた(春のDOAの準備で忙しいのに、スミマセン,,,)。
そんなときY原さんから
「こんな店ありますけど」
と紹介された店に行ってみた。
高田馬場にある「サイクルショップ・モンキー」
オーナーの今泉さんはこの道30年以上、
右側の人はママチャリのパンク修理をやってもらったらしいが、お店に入ろうとしたら元気な2匹のJRT(ジャックラッセルテリア)に吠えられまくり、ビビって入れない。
Y原さんも
とか。
今泉さんが20年以上かけてオリジナルで開発した、クロモリフレームがここのウリ。
買うなら最新型の「カーボン&フルサス」にするつもりだったので、
「なんで今さら重たいクロモリ?」
なんて半信半疑で近所を試乗させてもらう。
サスストローク160mmと太いタイヤで、フワフワの乗り心地
これならガレた林道でも走りやすそう
こちらはノーマルのブロックタイヤ
一台一台味付けが違うらしい。
以前は国内の工房に依頼してフレーム制作をしていたそうだが、パーツをいろいろ組むと価格がが高くなり、誰でも気軽に乗ることができない。
もっと手軽に乗ってもらえるようにと、数年前からコストの安い台湾で、フレームを作っているらしい。
国内ではロウ付け溶接だったのが、台湾はTIG溶接。
わたしも以前は某2輪4輪メーカーで、TIG溶接をやったことがあるので、ロウ付けよりTIGが良いのは分かる。
「クロモリは重くて時代遅れ < アルミは大量生産の安売り < カーボンが軽くて一番」
ネット情報を読み漁り「最新型が一番いい」と思い込んでいた(洗脳されていた)が、今泉さん曰く
「クロモリはしなるので、実はMTBには一番向いているんですよ」
とか。
もちろんレッドブルがスポンサーのダウンヒルレースなど、コンマ1秒を争うクレイジーなレースでは、軽量なカーボン&フルサスがいいのだろうが、家族がいる身でこんなことをやる気がしない。
モンキーのフレームはFサスだけで、リア無しの「ハードテイル」。
失礼を承知でフルサスについて尋ねると
「ハードテイルは乗ってて限界が分けるけど、フルサスは安全マージンが高いぶん、限界を超えるといっきに破たんする」
とのこと。
オートバイも高性能ほど限界を超えたときの、オツリが激しいもの。
MTB乗りのブログを読むと、
「アレを何ミリのに換えたらこうなった」とか
「コレを何ミニ換えたらこうなった」などなど、本当に細かくて「自己満足の趣味の世界」だなぁと思う。
「これは自転車のセローなんです」
と言われ、なぜかストンと腑に落ちた。
ふたりの息子さんもMTB関係の仕事をされている。
この日も保育園に入れず待機児童になったお孫さんを、今泉ジジババがお店で面倒を見ていた。
このなんとも言えないユルさがたまらない。
フレーム塗装も自分の好きな色にペイントしてくれるらしい。
これは今泉さんが週末に走っている、里山の土の色とか。
本当はこのあとカーボンフルサスも見に行く予定だったけど、これも何かのご縁、
とりあえず注文させていただきました(Y原さんご紹介ありがとうございます)。
修理車には「10年モノ」や「20年モノ」もあり、流行りに流されない「一生モノ」が、今泉さんが治してくれるのを待っている。
地方に住んでいたら地元のサイクルショップ経由になって、こうして直接オーナーと、話す機会も無かっただろう(こんなとき東京でよかったと思う)。
MTBのことな~んにもわからず、トンチンカンなことばかり聞いてしまったが、シロートにも分かりやすいよう、丁寧に答えていただき本当にありがとうございました。