正月早々、知人が数年ぶりに訪ねてきた。
彼は数年前に奥さんが病気で入院して、治療費に困って複数のサラ金から借金して、ここ数年「大変な思い」をしたそう。
最近ラジオやテレビで宣伝されて有名になった、払い過ぎた利息を取り返す「過払い金返還訴訟」を、弁護士に頼むお金がないので自分でやったそう。
数社の大手サラ金相手に、総額200万ほど取り返すことが出来て喜んだのもつかの間、相変わらず生活が苦しいので、銀行のキャッシュカードでキャッシングしようとしたらお金が借りられない....。
銀行の窓口で尋ねると、彼は不良債務者のブラックリストに載っていて、お金は借りられないとのこと。
今まではサラ金から銀行に情報が流れることはなかったようだけど、サラ金が合併で銀行の傘下になって、情報が流れるようになったらしい。
法外な金利を払わされていたのは彼のほうで、いわば被害者。
なのに訴訟を起こしたことへの報復に、数万円の金も貸さないとは、開いた口がふさがらない。
もっと驚いたのは彼に見せられた携帯電話の着信履歴。
ズラ~っと「090-○×○×」の違う電話番号が数十件、残っている。
キャッシングできなくなったその日から、毎日何十件もこれら「090金融」という「ヤミ金」から、お金貸しますと電話がかかってくるとか。
留守電を聴かせてもらうと「○○クレジットの××と申します。今ならいい条件でお貸ししますので、ぜひお電話ください」と、営業のメッセージが残っていた.....。
これも過払い請求への報復か、サラ金からヤミ金に個人情報が一斉に流されているらしい。
条件は10日で2割の利息だけど、当然ここで借りなければならない人に、10日後の返済は不可能。
すると別な「090金融」から「お困りなら貸しますよ」と甘いささやきが....
人間困っているときはワラをも掴みたい気持ちになるのでついまた借りてしまい、気がつくと何百万もの借金をしていると、彼は言う。
彼は今、サラ金で困っている人の相談に乗る、無料のボランティアをしているそうで、彼が電話を代わってヤミ金と交渉することも多いとか。
彼に相談に来る人のほとんどが、「何度も自殺を考えた」そうで、毎日起きている飛び込み自殺の何割かが、サラ金のノイローゼで起きていると、話していた。
奥さんも少しづつ元気になり、細々でも生活が出来るようになったと言うけれど、
「どんなにカネに困っても、もうサラ金には手を出さない」、
「過払い金訴訟は必ず勝てるけど、そのあとが本当に地獄だよ」
その言葉には重みがあった。
ラジオを聞いていると弁護士事務所が、一日に何十回も過払い金訴訟のCMをやっているけど、どうか甘い話しにはご用心を。