仕事で管理しているワンルームマンションに行った。
ゴミ屋敷に暮らす65歳男性、独身、無職。
60歳で定年退職し再就職先を探すも、病気がちで体が弱く仕事が見つからないまま、今は月10万円の年金暮らしで、ここに住んで15年らしい。
3年前に部屋を見たときはまだきれいだったので、このゴミの山は3年間で溜めたものか。
8畳ほどの部屋はベランダまでゴミで足の踏み場もなく、本人は右手前の風呂とトイレが一緒のユニットバスで暮らしていた。
でも浴槽もゴミがいっぱいで風呂にも入れず、いつもと同じ洋服からは異臭が漂う.......。
腹が減ると近所のコンビニで弁当を買うらしく、ゴミはほとんどプラスチックごみなのが、まだありがたい。
(生ごみの腐ったにおいは想像を絶する)
何度も片付けるよう催促したが、一向にやる気配がない。
毎朝仕事で出勤すればゴミも捨てるだろうが、「サンデー毎日」ではゴミ捨ての気力も失せるだろう。
火事でも起こされ手は大変なので、仕方なくこちらで片付けることにした。
助っ人に私のマンションの住人JOEさんに手伝ってもらい、ゴミの仕分け中。
マンションに設置した大型ゴミ箱が、45Lのゴミ袋15袋でいっぱいになった。
それでも部屋の玄関の床が、「やっと」見えたくらいしか片付かない。
仕方ないので近所に住む保証人の女性に来てもらった。
「・・・・・・」
部屋を見て絶句する彼女。身寄りがない彼のために遠い親戚の彼女が、仕方なく保証人になったそうだが、もうこれ以上はいやだと言う。
かわいそうだがこのままここで死なれたり、火事を出されるほうがもっと大変なので、仕方がない。
同行してくれたJOEさんに彼の年齢を言うと、「ヨボヨボなので75才以上かと思った」そう。
このくらいの家賃(6万円)だと借りたいと来る人間は、派遣切りにあった生活保護か、高齢者か、出稼ぎに来ている外国人が多い。
障害を持つ生活保護者でなく派遣切りの場合は、いつかは働かないと保護が打ち切られる。
そうなると「仕事も金も身寄りもない」人は引っ越すことも出来ず、家賃滞納者になり追い出される。
行政はそこまで面倒を見ないので、行きつく先はホームレスしかない。
(彼は年金があるのでまだマシか)
このまま少子化が進み高齢者が増え続けると、この国はどうなるのか、考えるのも恐ろしい。
国を運営する者たちを信用することができない、不幸な国に産まれてしまった我々は、せめては「明日は我が身」にならぬよう、今日を一生懸命生きるしかないのだろう。