先週のこと、
自宅ポストを見たら、あれ?なんか入ってる
こ、これは?!
じ~じのアフリカみやげ(しかも子供用💛)
アフリカエコレースのオリジナルTシャツと
こちらはゴールのセネガルのTシャツ
「typiquement」はフランス語で「一般的な」
「typique senegal」は「典型的なセネガル」。英語で言う「typical」かな。
さっそく学校へ着ていきました(サイズぴったり、ありがとうございます~\(^o^)/)
毎回ラリーから帰国後はスポンサーさんへの報告などで忙しいと思い、こちらから連絡するのを遠慮していたのに(この日も朝からずっと事務所(というか自宅)にいたのに('_'))
いつものように「こっそり」ポストに入れて、いなくなってしまう。
さながら「ねずみ小僧」ならぬ「ねずみじじい」か。
ならばこちらも時差ボケの朝を襲ってやろうと、10時に自宅を直撃。
9時だとまだ寝てるかも?
と思い10時に自転車で行ったけど、自宅ガレージにじ~じの軽自動車がない?!
(砂漠を180kmオーバーで爆走する「世界のスガワラ」は、ふだんはダイハツだったかの軽自動車に乗っている♪)
「ひょっとしてもう出かけちゃったのかな?」
と思いながらも、いちおうインターフォンを押してみた。
しばらく待っても返事がない。
「しょうがない、また出直すか....」
と思ったら、ガチャッってドアが開いて
会えました\(^o^)/
まだ寝ていたようでパジャマ姿💛
「起きなきゃいけないって(目覚まし)かけといたけど、なかなか起きられなくてね」
私が来てちょうどよかったらしい。
リビングには40年以上のレースの軌跡がズラリ。
床にはアフリカの地図が
スポンサーさんにラリーを説明するのに、実寸の日本の切り抜きと比較するのが、一番わかりやすいとか。
ってほんとうにクロスカントリーラリー
アフリカの広大さに比べて日本のなんと小さいことか。
むかしはアフリカと言えばミシュランの地図だったけど、今は違うのかな?
今回「日本人唯一の」完走メダル
今回は日本人選手が2輪4輪、メカやプレス合わせて10人ほどが参加した。
レギュレーションの厳しいダカールラリーと違い、レース中に走行不能になって、カミオンバレイでビバークまで運んでもらっても、2回までなら(1回?)翌日もレースに復帰できる「特例」があるが、みんなそれを使い切ってしまい、自力で完走できたのはじ~じ&ハムラ組だけ。
ダカールラリーは「リタイア即 戦線離脱」が暗黙の了解になっている。
自走でラリーのコンボイについていきたくても強制的に排除されるが、エコレースはラリーを離れて自力でダカールに行くことが、許されるのもいいところ。
それでもそこはやっぱりFIMやFIA規格の、クロスカントリーラリー。
ルートの厳しさは「パリダカの鉄人」と言われたじ~じをもってしても
「大変だった」
そう。
とくに後半、往年のパリダカで毎回使った、モーリタニアの「チヂクジャ」ルートを、ひさびさに走ることになったが、温暖化の影響かモーリタニアなど内陸国は、砂漠化が急激に進んで人が住めなくなり、砂漠はより深い砂に覆われ、国道と砂漠の区別がつかなくなるほど、深い砂でスタックする車両が続出したらしい。
本来のエコレースのルートから数百キロ大回りしなければ、チヂクジャにたどり着けないので、CPに間に合わない参加者が続出し、SSはキャンセルになったそうだが、ビバークまで一本道なので、いずれにしても数百キロの砂漠を走らなければならず、じ~じでさえ
「ビバークに着いたのは夜中の3時だった」
とのこと。
増田まみ選手は海外チームからマシンを借りる、レンタルサービスを利用したが、慣れない砂丘で何度も転び、そのたびにセルを多用してバッテリーがあがってしまった。
もっともレンタルマシンも新車ではないし、ベータはもともとバッテリー容量が小さいので、
「せめてキックがついていたら」
と悔やまれるところだろう。
それでもそこは元モトクロス女子チャンピオン、
寝袋もないまま砂丘で夜を明かし、1000キロ以上を自走でラリーを追いかけ、
数日後に合流したのはさすがのひとこと。
こういうところで「人間力」が」試される。
左がラリー中にビバークで食事をするとき必要な、ミールクーポン
右はダカールラリーのミールチップだが、ICがついているぶんコストが高い。
エコレースはこんなところもエコらしく、毎回はさみでパッチンすることで「二度食い」を防げる(砂漠地帯で食事を運ぶのは本当に大変なので、食料もきまった人数分しか運べない)。
ビッグタンクマガジンのハルキ編集長がプレスで同行していて、毎日youtubeにレースやビバークの模様がアップされていた。
それを見る限りビバークの様子も、ダカールラリーのようにお金はかかっておらず、むかし参加したファラオラリー程度の「質素」なもの。
でもダカールラリーのように砂漠の真ん中にパリが出現、なんてことをエントラントは望んでいないはず(一部の富豪チームは自分専用のワインやチーズ、生ハムを積んだカミオンを同行させているが)
そのぶんコストが下がってエントリーのハードルが低くなれば、より多くのアマチュアが参加できるはず。
じ~じはミッションにつなぐギアがすり減って四駆にならず、「二駆」のまま数十キロの砂丘地帯を抜けたそう。
ほんとうはこのパーツだけ、三日に一度は交換する必要があったそうだが、
「そんなこと知らなかった」
らしいので(*_*)、やっとの思いでビバークに着いても、スペアパーツがない!
だがそこは「世界のスガワラ」、参加者のほとんどがじ~じのことを知っていて、
おなじバギーで参加していた外国選手が、パーツを分けてくれたそう。
「今回のラリーで交換したのはこの部品だけ。こんなところもエコだろ」
って。
いやいやそれは百戦錬磨のアナタだからできたこと。
砂丘超えでクラッチを滑らせてリタイアした人も多いので、エコとは関係ありません。
モーリタニアの砂丘で運悪く、前後輪がすっぽり砂丘の「タコつぼ」にハマって、動けなくなってしまったそう。
押しても引いても出せないので、困っているとどこからともなく、現地の人間が集まってくる(ほんとうにモンゴルもエジプトもアフリカも、地から「湧くように」人が現れる)
彼らの視力は「5.0以上」とか。
モンゴル人のバイラーさんが初めて日本に来たとき、繁華街のネオンがまぶしくて、目が痛かったとか。
彼らにモーリタニアのカネを見せて、押し出してもらおうとしたが、
「ユーロじゃないとやらない」
と言われたそう。
前述のとおりモーリタニアは砂漠化で経済が困窮し、自国のカネは信用しないらしい。
「100ユーロくれ」
と言われたそう(一人当たりの年間所得が数十万円のモーリタニアで、100ユーロはボッタクリもいいところ)
とはいえこの状況でそんなことは言っていられない。
ひょっとしたら彼らがわざと穴を掘って、誰かが埋まるのを待っていたのかも?
「そこの平らなところまで押してくれたら払う」
と言っても
「今くれないとダメ!」
と断られるが「他人のものは自分のもの」のアフリカなので、カネを渡したとたん逃げられてはたまらない。
押し問答を繰り返した挙句、仕方ないので100ユーロ払ったら
「ちゃんと平らなところまで押してくれた」
そう。
海がないマリなどはアフリカ最貧国だが、日本のスーパーで並んでいるタコは、ほとんどがモーリタニア産。
なので景気がいいと思っていたが、現状は全然違うらしい。
「モーリタニアのカネがたくさんあまっちゃったよ」
って。
ビバークのひとコマ。
左はチームスガワラ唯一のサポート、モンゴル人のバイラーさん。
どんなに疲れてもいつもニコニコ、増田まみさん。
そしてナビのハムラさん。
「今回のために減量した」らしいが、じ~じは
「あいつはぜったいガンで死ぬな」
って(*_*)
「のんびり日向ぼっこのおじいちゃん」
これだけ見せられたらだれもがそう思うはず。
でもここは観光旅行ではぜったい行けない「リアルアフリカ」
エコレースの情報がほとんど入ってこないので、いろいろな知り合いから
「スガワラさんはどうしてる?」
と聞かれたが、
「私はマネージャーじゃないのでわかりません」
と答えていた。
「ダカールラリーを引退したから、もうこのレースは遊びなんでしょ」
という人がいるが、ただひとつ言えることは
「この人は表彰台に立たないと、面白くもなんともない」
ってこと。
みんなが聞きたがっていることを聞いてみた。
「来年はどうするんですか?」
「来月(2月)7日からフランスに行って、{来年の準備}に取り掛かるんだよ」
まだラリーが終わって一週間、帰国して数日しか経っていないのに、この人の気持ちはもう「来年のアフリカ」に向かっている。
毎回ダカールラリーから帰ってくると、もう「来年の準備」を始めるじ~じ。
「ラリーは準備で9割が決まる」が口ぐせのじ~じ。
リビングにはフランスに向けてパッキング中の、荷物が広げられていた。
「Dear LEGEND」
カベにはダカールを引退したじ~じに、世界中の著名なラリーストから賛辞が。
自宅で2時間あまり、いろいろなハナシを聞きすぎて、書き忘れてることも多いはず。
思い出したらまた書かせていただきます。
イチから作って自分のカラダの一部となっているレンジャーと違い、今回は車両製作からかなり苦労したそう。
ラリー直前の年末、フランスはルマン。
自分のガレージで毎晩徹夜でマシンを作っていたら
「マシンが向こう側に倒れたと思ったら、倒れたのは自分だった」
って。
一緒に作業していたバイラーさんが救急車を呼んで病院へ。
過労で倒れたのは人生初。
床に後頭部を打っていたので、一時はレースもあきらめかけたらしいが、検査の結果、大丈夫とのことで無事スタートできた。
転んでもただじゃ起きない78歳、現役最高齢のラリースト。
今回の経験をもとに、さらなるバージョンアップをするらしい。
ダカールラリーに比べてエントリーフィー含め、はるかに安上がりのエコレース。
来年はもっと多くの日本人が参加するだろう
(だってゴールがダカールの、あの「ラックロゼ」なんだよ)
今回あまったモーリタニアのおカネも、来年こそ使ってください💛