R1250GS カフェしなの

R1250GS、事故で廃車から買い替えました

一日先生

先日は娘の5歳の誕生日
それにあわせて保育園の、「一日保育士体験」に参加した。
 
これは保護者が「一日先生」を体験できるもの。
3年前にも一度やったが、このとき娘はまだ2歳で、なにも覚えていなかった。
 
1歳から毎日、保育園の送り迎えをやっているので、
私のほうが妻よりママ友は多い。
21人いるクラスの子も、全員の名前を言えるし
(たぶん0歳から5歳児まで100人のうち、半分くらいは知っている)、
それぞれの性格も知っている。
 
ありがたいことに自宅が2階、事務所が1階の私は、通勤が無い。
朝、他の子の親が、
「遅れるから早くしなさい!」
と子供を叱っているのを横目に見ながら、
親は忙しいはずの朝の保育園で、毎朝30分くらい子供たちと遊んでいる。
 
「どうしてこのお父さんは、毎朝遊んでくれるのか?」
 
子供たちも私のことを不思議に思っているらしく、
先日は娘の同級生のこはるちゃんに
「パパ、おしごといかなくていいの?」
と聞かれ
「パパはでんしゃにのっておしごと、いかないんだよ」
と説明したが、「大人は電車で仕事に行くもの」と思っているらしく、
ますますわからなくなったかも。
 
そして保育士体験の当日
娘と一緒に登園し、エプロンをつけて一日先生のスタート。
とたんに子供たちが
「あそぼ~!!!」
と大挙して押し寄せてきて、倒れた私につぎつぎと馬乗り。
あやうく20人の子供たちに、押しつぶされそうになった。
 
最近の4歳児の流行りは、女の子は「あやとり」や「お手玉
男の子は「コマ回し」と、40数年前、私が子供のころと変わらない
(公立の保育園だけだろうか)
 
「コマ回せる?」
と娘の同級生の「りんたろう君」が、コマを片手に聞いてきた。
 
子供のころ、何万回コマを回したか記憶にないほどよく遊んだが、
コマを持つのはたぶん45年ぶりくらい。
それでも「カラダ」は覚えているもので、見なくても手際よくコマにヒモを巻きつけていて、我ながら驚く。
 
両足を開いて構え、
サイドスローで投げ、
ヒモが伸び切ったところで手を止めて、
ヒモをコマの軸からクイっと「抜く」と、
なんときれいに回っている。
 
驚いたのは私より子供たち
そこにいた全員が
「すげー!!」
と大興奮。
4歳児クラスでコマを回せる子はまだ誰もいないらしく、
おじさんは一発でヒーローに。
 
「ねえねえ、なんでコマまわせるの?」
と聞くので、
「パパもキミたちくらいのときに、よくやったんだよ」って
 
子供たちはパパやママが、自分と同じ子供だったことを想像できないらしく、
不思議そうに見ている。
 
ひとりづつ手を添えて一緒にコマを投げてやると、
カンのいい子は数回でまわせるようになる。
驚くとともに
「子供は遊びの天才」
という言葉を実感した。
 
3歳上の姉がいたので、子供のころはよくあやとりやお手玉を付き合わされた。
なのでなんとなくあやとりも「取れる」し、
お手玉も3つまでは体が覚えていて、カラダの前で回せた。
 
「こんなに盛り上がる保育士体験は、はじめてです」
と先生が驚くほど、私と遊びたい子供たちが、パズルやレゴ、かるたなどを持って、順番の列を作って待っている。
 
ジグソーパズルやレゴを、ひとりでじっくりやる子
トランプに負けて本気でくやし泣きする子
泣いている子を優しくなぐさめてあげる子
 
5歳になって本当に、みんな個性豊かになってきたなぁ
 
そんな感慨に浸っていたら、おもわずほろっと泣いていた。
 
「なんでないてるの?
ハンカチで涙をふいてくれる子もいて、思わずギュッと抱きしめた。
 
母子家庭の子は一クラス平均5人はいる。
お父さんを知らない女の子は、あやとりやお手玉ができたとき、
ギュッと抱きしめて褒めてやろうとすると、
驚いてカラダを硬くするか、スルっと逃げる。
 
そのわりにまたすぐ近づいてきては、またスルっと逃げるの繰り返し。
興味はあるが異性の親と、どう付き合ったらいいのかわからないらしい。
 
あまりなれなれしくして、あとで親から苦情がでたら困る。
 
家に帰った子がママに
「わたしもパパがほしい」
なんて言われても、こればかりはどうにもならず、お母さんも困ってしまうだろう。
 
「恋愛相談」してくる女の子もいた。
 
「あたしはね、るいくんがすきなんだけど、みうちゃんもるいくんがすきなの。
でもるいくんはあやねちゃんがすきみたいで、あやねちゃんはりつきくんがすき」
 
昼のメロドラマも真っ青の、ドロドロの三角、四角関係が繰り広げられていた.....。
 
おもちゃの取り合いで力のある子が、相手の子を突き飛ばした。
 
つかまえてしっかり目を見て叱ると、驚いて泣き出す子もいるが、
みんなこちらの目を見て「.......ごめんなさい」と謝ってくれる。
 
思わずギュ~っと抱きしめると、小さな手でギュッと抱き返してくる。
気持ちが通じたようでうれしくなり、また涙の繰り返し。
 
先生に
「叱らないほうがいいですか?」と聞くと
 
「みんな甘やかされているので、ビシッといってやってください」
とお許しがでた。
なんだかんだ言ってみんな、怒られるのを待っているのは、
大人も子供も同じなのだろう。
 
保育園の隣りの公園に行き、かくれんぼや鬼ごっこ、虫探しなど、
みんなが好きなことを始めた。
 
その辺に生えている葉っぱを取り、草笛をふいていたら、
不思議な音を聞きつけた子供たちが寄ってきた。
 
「やりたい~」というので、一番簡単な葉っぱを丸めた草笛を作り吹かせると、
「プ~~」と音が出て大喜び。
それを聞いた他の子たちも集まって、「やりたいやりたい」の大合唱。
 
あとで
「汚い葉っぱを口にさせた」とか
「葉っぱに放射能が付いていたらどうしてくれる」
なんて苦情が保育園にきても困るので、どうしようか迷ったが、
このぐらいでガタガタ言うなと思い、一つづつ草笛を作って吹かせてやった。
 
翌日に数人のお母さんから
「{葉っぱで笛が吹けた}と喜んで話してくれました」
とお礼を言われてホッとした。
 
草笛なんて昔は、父親かおじいちゃんが教えてくれたものだが、
コマ回しといいやったことのない親が多い。
さすがに娘のクラスで一番若いお父さんは30歳。
53歳のおじさんとは育った環境も違うのだろう。
 
怒涛の午前の部が終わり、やっとお昼。
 
ここでまたひと悶着が起きる。
 
私の横に座ってごはんを食べたい女子が10人、熾烈な席取りを繰り広げている。
10人足しても50歳にも満たない女の子に囲まれるのは、
はたして喜んでいいものか.....
 
横に座れず泣き出す子もいて、見かねた先生が
「じゃあ机を横に3つ並べて6人座れば、パパの横に5人づつ座れるよ」と、
助け舟を出してくれた。
ということで保育士体験史上初の、
前半後半の二部制食事会となった。
 
娘は他の子と仲良くする私を見て、午前中だけで5回泣いたが、
かまってやれる余裕がない(ゴメンね..........)。
 
午後は娘のお誕生会。
このときばかりは彼女が主役。
うたを歌ってもらったり、プレゼントをもらったり、
なにより誕生日の保育園に、私がいることがうれしいらしく、
ずっとこちらを見ていた(それを見てまたホロリ)。
 
あっという間に時間は過ぎ、夕方5時
53歳のおじさんはもうヘロヘロだが、元気な子供たちは
「もっとあそぼー!!!!」とまとわりついて、離れない。
 
先生がまた助け舟を出してくれ、みんな並んで今日一日のお礼に、
私に歌を歌ってくれた。
ここでまたホロリ
 
園長先生からも
「今日は何回泣きましたか?」って。
そんなこと覚えてないくらい、よく泣いた。
 
娘と帰ろうとすると、みんなが泣いて追いかけてきた。
「いかないで~」って、明日も保育園の送りで会えるんですけど。
 
保育士体験中は写真撮影禁止なので写真は無いが、
大変だったがこんなに楽しいなら、月イチでやってもいいかな?
なんて先生に言ったら
「毎月はちょっと......」って。
そりゃそうだ。
 
4月から娘は年長組で、保育園もあと1年。
この1年でキミはどんな女の子になるのかな?
 
シリアやイラクではテロや内戦で、子供も関係なく毎日殺されている。
今のところ平和な日本に生まれたことを、八百万の神様に感謝しなければ。