私が大家の千葉のマンションに、私が購入するずっと以前から住む、78歳の男性。
もともとは東大だか京大を出て、どこかの商社マンだったらしいが、仲間に誘われて脱サラして事業を始めたら、失敗続き。
家族にも見放され、ビジネスパートナーだったこのマンションのオーナーが、
「うちの部屋空いてるから、かしてあげるよ」
と入居してはや十年。
このマンションの元オーナーも、もとは大地主の息子で、
「このマンションから駅まで、自分の土地だけ通っていけた」
と豪語していたが、しょせんはボンボン。
先祖伝来の家作を担保に銀行でお金を借りて、いろんな事業に手を出しては全滅。
本人曰く「じいさんの代と合わせて銀行に、20億は取られた」そう。
もともと賃貸用に建てたこのマンションも、おカネに困って入居者にバラバラと売っていたら、最後は自宅の一部屋だけに。
いまは管理人をやって細々と食いつないでいる。
私がここを買った9年ほど前は、ちょうど東日本大震災があった翌年。
福島原発から漏れた放射能が、関東一帯に降り注ぎ、各地で「ホットスポット」と呼ばれたころ。
このオジサンたちはさっそくウクライナから、「放射能測定器付きのイス」を数百万で購入。
市役所から「被ばく量検査費」として、ひとり5000円を補助してもらう話をつけ、大々的にチラシを配って、マンションの空室で「検査料1回5000円」で「開業」した。
この市は保育園や小学生だけでも数千人いるので、
「1000人やったら500万儲かる」
とか
「もう1台、大至急輸入しなきゃ」
なんて喜んでいたら、近所の小学生10人くらいを、「キャンペーン」と称して無料で測定したところで、役所に
「このまま住んで大丈夫なのか?」
という問い合わせが増え、風評被害が広がることを懸念した役所から、補助金中止の知らせがあり、1円も稼げないままお蔵入り.....
ほかにもマンションの一室で、500万の「水耕栽培」設備を買って、
「これで天候に左右されず、希少な野菜を栽培して、高級レストランやスーパーに卸してひと儲けしよう」
なんて期待したが、スーパーやお店に卸す規模には、少なくても100坪以上のスペースが必要で、初期投資も1億は必要。
そんなこと最初にわかるはずだが、なんでも新しいことに飛びつくわりに、採算や将来のビジョンが欠落していて、これもお蔵入り。
なんてことを繰り返していたらマンションオーナーも、入居者のオジサンも貯金が底をつき、片や管理人、おじさんは月8万円の年金で、85000円の家賃が払えない。
78歳ではなかなか仕事も見つからず、今月やっと病院の警備員のバイトを見つけたそう。
洗濯機が壊れてしまい、元オーナーの洗濯機を週2回、借りているらしいが、最初は「困っているときはお互いさま」
といっていたオーナーも、
「いいかげん洗濯機くらい買えよ」
と言い出す始末。
家賃も遅れ気味なのに、中古でも洗濯機を買うカネがないというので、私の長年の友人のSさんに相談したら、
「使ってない洗濯機あるからあげるよ」
とのこと、
Sさんはマンションやアパートをいくつか貸しているが、本当に「ひと」がいいので、新しい洗濯機や冷蔵庫など買った入居者が、古い家電の処分に困っていると、
「預かってあげる」と自宅の物置にみんな引き取っていた。
見に行くとあるわあるわ、冷蔵庫に洗濯機、電子レンジにテレビが数台。
古いと言っても3~5年しか使っていないものもある。
(結婚した入居者が相方が持つ家電のほうが新しいので、処分したものもあるので)
ほかにも食器棚やクローゼットなど、広いはずの自宅がモノであふれている。
おじさんから「冷蔵庫も壊れそう」と言われていたので、軽トラのレンタカーを借りて、土曜日に届けてきた。
自宅から自転車で10分。以前スガワラ爺から紹介してもらった、「ニコニコレンタカー」
軽トラは6時間で保険含めて5000円ちょっと。
ここはガソリンスタンドの一角を借りて、店舗が無いぶんクルマを安くしているらしいが、2年前はおじさん一人だったのが、今はスタッフ3人。
儲かってるんだろうなと感じた。
不慣れな軽トラで首都高はこわいし、家電はタダでもらえたけどレンタカー代は自腹。
これ以上の出費は避けたいので、1時間半かけて下道で向かった。
この洗濯機はSさんのマンション4階に住んでいた、私がバブル時代に働いていた会社の、元専務が使っていたもの。
バブルがはじけて多額の負債を背負った専務も、奥さん子供に逃げられて30年、
職と住まいを転々として数年前、もともと知り合いだったSさんが見かねて、ワンルームを格安で貸してくれた。
そんな専務も85歳で去年の正月、部屋で孤独死してしまい、
「じつは半年、家賃もらってなかったんだよね」ってSさん。
私もバブルがはじけたとき、この不動産会社が多額の負債を抱えて倒産。
このころは専務も私も個人で不動産を、買って売っていたので、私も億単位の負債を背負い、文字通り無一文に。
そのとき助けてもらったのもSさんで、
「軽トラあるから廃品回収でもしたら」
と言われ毎日、
「ご町内の皆様~」
とやっていた。
友人のアパートの前で
「〇〇さん〇〇さん、バイクとかギターとかいらないのあるでしょ」
なんてマイクで呼んだら、おどろいた友人が飛び出してきたのを、今でも思い出す....
専務がSさんに「借りて」使っていた洗濯機だけど、あと数年は使えるはず。
冷蔵庫も専務が使っていたもの(亡くなったというと縁起が悪いので、だまっていた)
もともとあった洗濯機と冷蔵庫は、とりあえずベランダに置いて。
この借主さんもほんとはすぐにでも、家賃の安い市営住宅に引っ越したいけど、コロナなど不景気で空きが出ないそう。
入居は母子家庭や生活保護が優先されるので、年金暮らしの彼の順番は、当分回ってこないみたい。
やっと見つけた警備員のバイトは埼玉なので、ここから電車で1時間かかる。
そっちのほうが家賃も安いので、バイトでおカネが貯まったら引っ越す予定とか。
冷蔵庫と洗濯機をふたりで運んだら、もうゼイゼイしていた。
78歳だけどまだまだ働かないと。
くれぐれも室内で孤独死はしないでネと、冗談半分で言ったけど、現実になりそうでコワい。
ふだんはGSでバキューンと走る道も、軽トラでのんびり走ると、景色が違って見えて新鮮。
浅草の近くでこんなところに屋形船があったのかと、発見も。
無事クルマを帰して帰宅したら、土曜日、学校から帰宅した娘が
「来週日曜日、あたらしい学校の友だちと、池袋で待ち合わせしたので、行ってみたい」
と言われ、GSでロケハンに行くことに。
池袋駅前。
私立の中学校なので、都内だけでなく千葉埼玉神奈川からも通ってくるらしいが、埼玉方面の友だちが数人いるので、池袋になったそう。
山手線でいけば自宅から30分で行けるけど、「バイクで行きたい」って。
駅近くでバイク駐輪場があるか事前に調べて、空いてなかったらグルっと走って帰って来ようと思ったら、意外に空いていた。
駅から5分で1時間100円。
たぶん平日は満車なんだろうな。
クルマに比べて「ビジネス」としては儲からないので、バイク駐輪場はほんとに少ないけど、せっかく「世界一バイクメーカーのある国」なんだから、首都高や線路の高架下や、公園や公共施設の空地などに、有料でいいので設置して欲しいと、切に願う。
お目当てのカラオケ店をロケハンして、新宿~原宿~渋谷の繁華街を走って帰宅。
週末の大渋滞のなかを、娘を後ろに載せて走るのは、ほんとうに疲れるけど、あと数年もすれば見向きもされなくなるんだろうから、いまこの時間を大切にしたい。
そして日曜は3か月ぶりのオザトレへ。
千葉のヤマザキさんにずっとトレックを、修理で預けていたのを、同じ千葉在住のカラサワさんに取りに行ってもらった。
カラサワさんは外壁屋さんで、毎日都内の現場に来るので、仕事帰りに自宅まで届けていただいた。
お山のふもとのオザワさんちに、MTBを置かせてもらっているので、いつもならGSで自宅から1時間半のところ、今日はトレックを積んでいくのでレヴォーグで出動。
週末の高速は事故や行楽客ですぐ渋滞するので、余裕を見て5時半に自宅を出たら、思いのほかガラガラで、7時にオザワさんちに到着。
朝にぎったおにぎりを、走りながら食べる
高速を降りてオザワさんちへのせまい山道を登っていくと、対向車が。
減速してすれ違おうとしたら、運転手が手を振っている。
よく見たらいつも一緒に走るオダジマさん。
「これから仕事なので朝イチで一本、走ってきました」
って。
あとで聞いたら50分押し上げて、いつものトレイルを一本走ってきたらしい。
都内はなんでもあるけど、唯一「山が無い」
オザワさんもオダジマさんも、平日の早朝「朝の散歩」のように一本登って下って、仕事に行っている。
もはや生活の一部になっているのが、ほんとうにうやらやましいと、ここまで高速で1時間半かけてくる私が、毎回思うこと。
ひさびさにトレックを見て、マンガ「赤いペガサス」がアタマに浮かんだ。
まだ日本でF1グランプリがマイナースポーツだった1977年に、少年サンデーで連載開始。
長野の田舎だったけど同級生にF1好きのM君がいて、ニキラウダやマリオアンドレッティなど、F1の情報は意外に知っていた。
その彼が愛読していたのが「赤いペガサス」
私も借りて夢中で読んだのもなつかしい
フリマアプリかブックオフで、全巻揃えようかなぁ
オザワさんから「ワラビ食べる?」と聞かれ、「子供のころか食べて大好き」って言ったら、連れていかれたのが裏山
じつはここはオザワさんちの「ワラビ畑」
子供のころ親と山に入って、ワラビやゼンマイ、タラの芽を採っていた。
なので「山菜は山で採るもの」と思っていたので、まさか畑があることに驚いた。
ほんの10分でこんなに。もちろん無農薬
「これ栽培して都内の高級和食店に卸そう」
な~んて「さもしい都会人」の考えること。
都内だと高級品だけど、ここでは当たり前の食材なんだろうな。
今日一緒に走る消防署員のハンチョー。
寝坊したので30分遅れるって連絡があり、いつものお寺の駐車場で待っていると
なんと前輪を忘れたらしい(*_*)
ハンチョーには私がオザワさんちに置いてある、EⅤILに乗ってもらうことに。
ハンチョーのは私のコナと同じフレームで、ハンチョーこだわりのパーツで組んでいる。
オザワさんが乗り比べをしたいと、私のコナから前輪の移植を試みる。
前29インチ、後27.5インチの異口径のことを「マレット」という。
アクスルシャフトを締めてブレーキレバーを握ったけど、なんかスカスカ
よくみたらホイールもタイヤも同じだけど、ディスクローターの大きさが違う。
私のは小さくてキャリパーが届かなかった。
前29、後27.5 目視でもわかるほどサイズが違う
オートバイも前21、後17~19が当たり前なのに、自転車は前後一緒というのも、おかしな話。
直進性や旋回性が違うらしいので、私も一度試してみたかった。
そしてハンチョーがオザワさんちまでEVILを取りに行き、準備して走りだしたのが9時半。
いつもより1時間半以上遅れているので、ゴリゴリ登る。
そしていつもの湧き水を汲んで、見晴台まで漕ぎ上がる
まさかの全部マイバイク
汲んできた水を沸かしてコーヒータイム
豆を挽くおじさん、もといオザワさん
登るときは暑いけど、じっとしているとちょっと寒いくらいなので、暖かいコーヒーが沁みわたる
見晴らし台に私と同じ1250GSHPが停まっていた。
折り畳みチェアでコーヒーを飲んでいたオーナーは、所沢からソロツーリング中の、たぶん40代男性。
1年まえに「新車未登録」のGSを買って、オフは走らないけど毎週のようにツーリングしているそう。
KTMのビッグオフと迷ったけど、こっちを買ってよかったって。
山桜は満開
どこでもピースしたがるおじさんたち
ひさびさ(半年以上)に乗るトレックは、「たのしい」のひとこと。
Fフォークが立っているので、ドロップオフの下りでは前転しそうな錯覚になったが、ヤマザキさんにフォークを寝かせる、オフセットをしてもらったおかげで、激坂下りも恐怖心なく走れる。
コンパクトな車体は狭くて曲がりくねったオザトレにぴったり。
走りながらずっと歓声を上げていた(うるさいね~)
無事オザワさんちまで下って、マーマレード用に夏みかんをいただく
裏山にユズと夏ミカンがあるけど、もうだれも取らないって、なんてもったいない。
なんてのも都会人が思うことで、マーマレードも作ろうなんて思わないらしい。
スタートが遅かったので、帰宅したのは2時半。
今日も娘とバイクに乗る約束をしていたので、帰りの高速が渋滞していないか心配だったが、2時間かからずに帰れてよかった。
帽子が欲しいというので、第三京浜を走って横浜ららぽーとのジーユーへ。
ショルダーバッグも欲しいというので、いろいろウィンドウショッピングしていたら、雨が降り出した。
私のカッパを着せて第三を走ると、都内はまだ雨が降っていなくて助かった。
そしてワラビのアク抜き
重曹を使ってひと晩浸すのが一般的だけど、クックパッドで短時間でできるレシピを見つけて、さっそく試す。
小麦粉と塩を入れて沸騰させたお湯で数分、ワラビを煮ると小麦粉にアクが付着するそう。
かつお節としょう油をかけて「おひたし」にしたら、美味しくて奥さんにも好評だった。
そして去年10月、腹サイクルに修理(交換)に出したきり、なかなか戻らなかったガーミンが届いた。
コロナのうえに半導体不足とかで、遅れに遅れて約半年。
修理はできないので新品が届いた。
他にも待っていた人がたくさんいるらしい。
こんなに無償交換していたら、ガーミンも大変だろうと思ったけど、世界的に登山やハイキングブームらしいし、GSを買う人はほぼ100%セットで買うので、ガーミンも儲かっているんだろうナ